Deprecated: Array and string offset access syntax with curly braces is deprecated in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-includes/script-loader.php on line 706

Deprecated: Array and string offset access syntax with curly braces is deprecated in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-includes/script-loader.php on line 706

Deprecated: Array and string offset access syntax with curly braces is deprecated in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-includes/script-loader.php on line 707

Deprecated: Array and string offset access syntax with curly braces is deprecated in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-includes/script-loader.php on line 707

Deprecated: Methods with the same name as their class will not be constructors in a future version of PHP; EasyColumns has a deprecated constructor in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-content/plugins/easy-columns/easy-columns.php on line 28

Warning: "continue" targeting switch is equivalent to "break". Did you mean to use "continue 2"? in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-content/plugins/essential-grid_v1.1.0/includes/item-skin.class.php on line 897

Deprecated: Function create_function() is deprecated in /home/users/0/denyobi/web/masatotahara/wp/wp-content/plugins/essential-grid_v1.1.0/essential-grid.php on line 84
伝える | 田原真人公式ブログ https://masatotahara.com 参加型社会学会会長、デジタルファシリテーター、非暴力アナーキストの田原真人のブログ Sat, 16 Jul 2022 21:18:43 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.1.18 https://masatotahara.com/wp/wp-content/uploads/2014/10/cropped-01_rogo2-32x32.png 伝える | 田原真人公式ブログ https://masatotahara.com 32 32 364名がオンラインに集った「いつか語られる読書会」で見えたもの https://masatotahara.com/?p=2259 https://masatotahara.com/?p=2259#respond Sat, 22 Aug 2020 01:08:14 +0000 http://masatotahara.com/?p=2259

Related posts:

  1. シンクロしている遠隔地を繋ぐことで双方に価値を生み出す 11月7-8日に、ベトナムのホーチミン市へ行ってきました。 それをきっかけに素敵な物語が生まれたので、みなさん ......
  2. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  3. アクティブ・ホープ(2):大転換 ジョアンナ・メイシー、クリス・ジョンストン著『アクティブ・ホープ』についての感想を連載している。 この本は、社 ......
]]>
中原淳さんが「オンライン読書会」をやってみようと思った理由

2019年5月9日は、後から振り返ったときに「世の中が変化するきっかけとなった日」として思い出される日になるかも知れません。それだけのインパクトがあるオンライン読書会でした。

きっかけは、中原淳さんの「Zoomでオンライン読書会やってみたい」というブログでの呼びかけでした。

「組織開発の探究」を肴に「オンライン読書会」をやってみたい!

 

中原さんが「Zoomを使ったオンライン読書会」について考えるようになった理由は、

・育児中で出張を控えなければならない事情があり、オンラインで講演会や勉強会のニーズへ応える可能性を感じたから

・地方出身者であり、地方と都市の間の距離があり、「書籍をネタに読書会をする機会」を持つのが地方では難しいから

さらには、

オンラインで多くの読者とつながることができるのだとすると・・・新たなオーサーシップ(著者であること)やエディターシップ(編集者であること)は「本を通じて、読者とコミュニケーションすること / 読者コミュニティをつくること」になります。

とおっしゃられていて、出版社の新たなビジネスモデルが生まれる可能性にも言及されていました。

中原さんのブログ記事を見た複数の友人から、Facebookのメッセンジャーでブログ記事のリンクが送られてきました。彼らのメッセージの内容は同じで、

田原さん、『Zoomオンライン革命』の著者の出番じゃない?

とのことでした。

そこで、中原さんに連絡を取り、『組織開発の探究』の版元であるダイヤモンド社の永田正樹さんを紹介していただきました。

ダイヤモンド社を訪問

私は海外在住で、年に数回だけ帰国しています。

3月末にちょうど帰国する予定があったので、オンライン読書会や出版社の新しいビジネスモデルの可能性についてディスカッションしに、ダイヤモンド社を訪問しました。

私たちは、数年前から、様々なやり方でオンライン読書会を実施してきました。

・『ティール組織』で反転授業形式のABD(アクティブ・ブック・ダイアログ)

・『対話型組織開発』を朝と夜で交互に読書会(参加できない方を録画で見る)

・『量子力学で生物の謎を解く』を、気になった章から読む

・戦国時代について子どもが大人に説明し、大人が学ぶ共創読書会

などなど。

それらの経験を元に、オンライン読書会「コミュ読」というコンセプトを考え、オンライン読書会を簡単に開けるようになるためのサポートを行っています。

教育関係で仕事をしてきた私は、価値の源泉が、コンテンツ→コミュニケーション→コミュニティと移行していることを実感していて、その移行は、出版業界にも同じように起こっていくと思っています。

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=2259 0
主体的な活動を促す媒介者の存在 https://masatotahara.com/?p=2244 https://masatotahara.com/?p=2244#respond Mon, 29 Apr 2019 02:35:01 +0000 http://masatotahara.com/?p=2244

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. 『魂の脱植民地化とは何か』を読んで考えたこと 合同会社CCCと反転授業の研究のコラボ講座「全体性から生きるAuthentic Leadership基礎特別篇 ......
  3. 生きるためのx、自分と繋がるy 生き物は、生まれた瞬間から学び始める。 学ぶことは、生きることと不可分なのだ。 外から情報を取り入れ、自分の中 ......
]]>
主体的な学びの場は、どのような構造を持つのでしょうか?

今までのように、やるべきことが決まっていて、特定の刺激に対して、特定の行動をするように強化していく訓練の場では、教師ー生徒、上司ー部下のような縦の二項関係が効果的です。

このような縦の二項関係は、グーとパーしかないジャンケンのようなものです。

このような状況では、指示をする側と、指示をされる側とが固定され、いつしかその環境に双方が適合し、役割にはまっていきやすくなります。

社会状況が複雑化、流動化して、分かりやすい正解が見いだせない現在、主体的な学び、自律的な行動が求められています。

もし、学習者が主体的に学ぶことを願ったり、部下が自分で考えて自律的に動くことを願ったりするならば、縦の力を弱めて、相互に学びあう横の力を強めていく必要があるでしょう。

そのためには、縦の力が働いている環境の下で身につけたパターンに両者が気づき、それを手放していく必要があります。

その気づきが起こりやすくなるための仕掛けが、「媒介としての第3者」の存在です。

グーとパーしかなかったジャンケンに、「媒介としての第3者」としてチョキが加わることで、関係性が流動的になるのです。

一方的に情報が流れる「縦の関係」は、相手からのフィードバックループがないので振り返りによる経験学習が起こりにくくなりますが、「媒介としての第3者」の存在によってフィードバックループができるので、両者に経験学習が起こりやすくなり、内省を通した学びと気づきが生まれやすくなります。

フィードバックループが生まれ、両者が振り返りによって気づきを深めていくことで、固定化されていた役割が緩み、主体的な行動が生まれやすい環境が整っていきます。

媒介を導入して主体的な学びを構築した例

京都精華大学 グループワーク概論

筒井洋一さんが、京都精華大学時代に行ったグループワーク概論では、CT(Creative Team)と呼ばれるボランティアが教員の代わりに前に立って授業を行い、教員ーCT-学生ー見学者が、授業後に振り返りを行うという形をとっていました。

その様子は、筒井洋一さんらの著書

CT(授業協力者)と共に創る劇場型授業―新たな協働空間は学生をどう変えるのか

 

の中で解説されています。

グループワークは、学生の主体的な学びによって成り立ちますが、多くの学生は、これまで育ってくる中で「受動的な学びの態度」を身につけていることが多いです。

その枠組みをゆらがしていくのがCTの存在です。

学生と年齢のあまり変わらない若いCTが、目の前で、失敗を繰り返しながら授業創りを行い、学生や見学者、教員からのフィードバックを受けて学び、成長していく様子に触発されて、学生の主体的な活動が引き出されていき、学生もまた、CTや見学者、教員からのフィードバックを受けて学ぶようになっていきます。

グループワーク概論では、CTという媒介者、さらには、見学者も媒介者となり、複雑な関係性が教室内に生まれて、学生は適合すべき枠がないことに戸惑いながらも、主体的に動き始めることを促されていく仕組みになっています。

「反転授業の研究」のオンライン講座

2012年12月にスタートした「反転授業の研究」では、2014年から学習者中心のオンライン講座を、主に教員向けに実施するようになりました。

主体的な学びが起こるための場の作り方として、筒井洋一さんたちの取り組みを参考にし、

講師+運営 - 運営ボランティア - 受講者

という3者関係を作り、運営ボランティアには、運営の顔と受講者の顔の両義性を持たせることで、媒介者の役割を果たしてもらうことにしました。

講座が継続する中で、受講者を体験した人が、その次には運営ボランティアの役をしたり、運営や講師の役割をしたり、というように役割を変えていくことで、関係性がフラットになりやすい状況が生まれていきました。

ママプレナーズオンライン講座

ママの起業家(=ママプレナーズ®)向けのオンライン講座を実施しました。このときは、運営のリソースが足りなかったため、受講者の中から「運営盛り上げ隊」を募集するという方法をとりました。

講師+運営 - 運営盛り上げ隊 - 受講者

という3者関係を作り、運営盛り上げ隊は、もともと受講生であり、かつ、運営としても関わるという両義性を持つ媒介者の役割を持つことになりました。

その結果、受講生が主体となったスピンアウト対話が1カ月で30回以上も実施されることになり、過去最高レベルの活性化した場となりました。

自己組織化コミュニティの作り方

コミュニティの自己組織化をテーマにした2ヶ月間のワークショップを実施しました。コンテンツはすべて動画で、オンラインの対話を中心とした構成で、0期と1期は、運営ボランティア10数名が、運営と受講者とを繋ぐ形となりました。

0期のときは、反転授業の研究のメンバーが運営ボランティアに入り、1期のときは、0期の受講者の中から運営ボランティアを募りました。

講師+運営 - 運営ボランティア - 受講者

という3者関係を作ると、運営ボランティアが、運営と受講者の両義性を持つため、受講者の主体的な動きが引き出されやすい形となりました。

2期では、運営ボランティアを媒介ではなく、運営サポートという形にして、

講師+運営+運営サポート - 受講者

という2項関係にしたところ、「講座感」が生まれて、受講者の主体的な動きが、前の2回よりも少なくなったと感じました。

改めて、媒介者の存在が重要であることに気づくきっかけにもなりました。

Zoomを使ったオンライン講座の開き方

学習者中心のオンラインの学びの場の作り方を伝えるオンライン講座を1カ月で実施しています。講師が一方的に伝える時間を減らすために、コンテンツはすべて動画にして、学習者がMoodleやスクールタクトといったプラットフォームに課題を提出し、お互いの違いから学びあう協働学習の場創りをしています。

受講者が教育関係者が多いこともあり、旧来の講座の枠組とは違うことを認識してもらうための媒介者の役割が、他の講座にもまして重要になります。

この講座では、共創カタリストという役を、元受講生の中からお願いしています。

講師+運営 - 共創カタリスト - 受講者

という3者関係の中で、受講者が受講者としても関わっている共創カタリストに触発されて活動しやすくなります。また、共創カタリストは、受講者に近い立場から運営と講師にフィードバックを与え、それを参考にして講師と運営は、講座を柔軟に調整しながら進めていくことができます。

子どもと大人の共創読書会

自己組織化する学校プロジェクトでは、子どもが興味関心に従って、自由に選択したり、決断したりできるオンラインの学びの場創りをしています。

ここでは、子どもが教え役になり、大人が聞き役になり、ファシリテーターが媒介者となります。

教え役(子ども)-ファシリテーター(大人)-聞き役(大人)

という3者関係の中で、それぞれが、日常の役割を抜け出して、いきいきと学んでいます。特に子どもたちが、この学びをとても楽しんでいます。

EMS(Essential Management School)

西條剛央さんの本質行動学を学ぶためのスクールです。100人100通りの学びということで、学習者中心の学びが設計されました。

ここでは、

講師+運営 - FA(Facilitative Assistant) ー 学習者

という3者関係が取り入れられ、私はFAとして関わりました。

FAや学習者が多様な部活動を立ち上げるなど、学習者主体の活発な動きが生まれました。

まとめ

  • 教師ー学習者 のような固定化されやすい二項関係に、両義性を持った媒介者を入れることで、関係性にゆらぎが生まれ、学習者が主体的に動きやすくなる。
  • 教師⇒学習者 といった縦の関係が生まれやすい状況の中で、教師ー媒介者、学習者ー媒介者 というフラットな関係を導入することで、教師と学習者の関係をフラットにしていけるようになる。
  • フラットな関係の中で、正解を一方的に押し付けられることなく、自分の考えや、感じていることを発信しやすくなり、周りからのフィードバックをすべての関係者が受け取り合って、経験学習サイクルを回せるようになる。

お知らせ

媒介者を加えて、主体的な活動を促進するオンラインの場を体験してみませんか?

「Zoomを使ったオンライン講座の開き方」は、定期的に開催しています。

メルマガ

私たちは、主体的な学びや自律的な組織に関する情報を発信しています。

興味のある方は、メルマガ登録をお勧めします。

Zoom革命通信 ← Zoomでこんなことができる!

与贈工房通信 ← 生命型リモート組織が目指す世界

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=2244 0
日本初400名が参加する「オンライン読書会」が示したパラダイムシフトの兆し https://masatotahara.com/?p=2233 https://masatotahara.com/?p=2233#respond Sat, 27 Apr 2019 09:30:29 +0000 http://masatotahara.com/?p=2233

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
  3. メンタルヘルスのための匿名チャット「くまココ」 自己組織化ファシリテーターの田原真人です。 熊本地震の後、有志が集まりメンタルヘルスのための匿名チャット「くま ......
]]>
時代が動くときには、分かりやすいサインがあるものです。

たとえば、2013年の夏、現在、会員数4000人を超える「反転授業の研究」が、まだ20数名だったころ、夜10時からの無料オンライン勉強会に110名が集まったんです。

「反転授業」とか「アクティブラーニング」が、まだまだマイナーだったころだったので、

110人

という数字にびっくりました。

そして、時代は変わるんだと実感しました。

その後、5年間のうちに、コミュニティの数は、20数人から4600人へと増え、アクティブ・ラーニングは、時代のバズワードへとなっていきました。

後から振り返ると、あのときの「110人」のインパクトが、時代の変わり目を示すサインだったのです。

それと同じような衝撃を、今回、感じています。

『組織開発の探究』のオンライン読書会を、著者の一人である中原淳さんがやりますと呼びかけたところ、なんと定員の400人があっという間に満員御礼になりました。

中原先生のブログ記事はこちら

「大人の学び」を阻害する「5つの壁」を打破せよ!:日本初400名が参加する「オンライン読書会」を実施!

 

勉強会を主催しているダイヤモンド社の藤田さんも、中原先生も、「手伝いますよ~」と気軽に声をあげた僕も、申し込んだ方も、

400人

という数字にびっくりしていると思います。

そして、これは、間違いなく時代の変わり目を示すサインですね。

「オンライン読書会に400人が集まる時代」が始まったのです。

それは、どんな時代なのでしょうか?

コンテンツを消費する時代から、共創体験を求める時代へ

2004年に出版された『価値共創の未来へ』の中で、C・K・プラハラードらは、顧客と企業の共創(Co-Creation)へと時代が移り変わっていく未来を予想しました。

彼らは、インターネットによって情報を持つようになった消費者は、受け身の立場を捨てて積極性を示し、互いの結びつきを強めていることに気づきました。そして、今後、企業が中心となって価値を創造して消費者に提供するという産業体系が崩壊することを予見したのです。

プラハラードらは、従来の価値創造システムが崩壊後にやってくる新たな価値創造の枠組が、「顧客と企業の価値の共創」だと考えました。

今回、オンライン読書会に400人集まったという現象が示すことは、出版社や著者が価値創造して一方的に読者という消費者に提供するモデルから脱却し、積極的に行動する読者が、出版社や著者と共に新しい価値を共創するモデルへのシフトが始まったサインであると考えることができるのではないかと僕は感じています。

規格化×大量生産の時代から、個別化×共創の時代へ

消費者が受け身の立場を捨てて積極性を示し、お互いの繋がりを強めると、集団に多様性が生まれ、かつ、それらが変化していく速さが増していきます。

かつて、国民の多くが同じテレビ番組を見ていた時代には、「均質な大衆」が存在し、そこへ向けた商品を開発していくことが可能でした。

しかし、多くの人がテレビを見るのをやめ、お互いのFacebook投稿やブログ記事を読んで情報を得るようになって来ると、「均質な大衆」というものが存在しにくくなり、商品開発のターゲットを特定するのが難しくなっていきます。また、物質的な豊かさが満たされている現在、私たちは「自分の存在の意味」を感じられるような個人的な体験を求める傾向があると思います。

規格化×大量生産のやり方で作った商品を、「均質な大衆」へ販売していく時代から、個人が自分らしい体験を求めて相互の繋がりを強めていき、個別化×共創で生きる意味を見出していく時代へと移り変わるにつれて、産業体系は、おのずから次のように変化していくのではないかと思います。

 

価値創造のパラダイムが変わることで、新しく生まれる仕事

価値創造の源が、企業の上層部から共創コミュニティへ移動すると、無くなっていく仕事がある一方で、新しく生まれる仕事があるでしょう。

Zoomが登場したことで、オンラインのコミュニケーションの質が大きく改善し、オンラインコミュニティで共創が起こりえるだけの信頼関係を構築しやすくなりました。

オンラインの共創コミュニティをどのように作り、運営するのかが、企業にとって非常に重要になるでしょう。

新しく生まれる仕事としては、

・オンラインファシリテーター

・オンラインコミュニティマネージャー

・オンラインワークショップデザイナー

などが考えられます。

私が代表を務める「与贈工房」では、パラダイムシフトを見越して、このような仕事を開発しています。

また、オンラインコミュニティでの交流が当たり前になると、オフィスに集まって仕事をする必要がないのではないかと考えるようになります。

「オフィスに集まる」という制約を外して完全リモートになると、国内外から優秀な人材を雇用することが可能になります。育児や介護などで働き方に制約がある人が働くチャンスが生まれたり、海外在住でビザの関係で働けない人がプロボノとして関わることができたり、実は、メリットがたくさんあります。

私たち「与贈工房」は、2017年にギルド型のリモート組織としてスタートし、6か国から20数名が集まって一緒に働いています。

ずっと一緒に働いているのに、海外在住のメンバーの中には、まだ会ったことのない人もいます。

代表の私自身も、海外在住で働いています。

そういう働き方の人が増えるにつれて、集合型の人材育成は困難になっていき、人材育成のオンライン化が進んでいくでしょう。

私たち自身が、すでにそうなっているので、

共創体験の提供×人材育成のオンライン化

を実現するために、学習者中心のオンライン学習環境を整え、ラーニングファシリテーターの支援の下で、経験学習サイクルを回して学び続ける人材育成モデルを提唱しています。

そのアイディアを2017年にウェビナーでお話しました。

 

さらに、今回のオンライン読書会で扱っている『組織開発の探究』に関することですが、組織がグローバル化するにしたがって、組織開発の手法にもオンラインコミュニケーションの活用が不可欠になってきます。

・AI(アプリシェイティブ・インクワイアリー)

・OST(オープンスペーステクノロジー)

・ワールドカフェ

・フューチャーサーチ

など、組織開発に用いられるワークショップ手法を、オンラインで実施する「リモート組織開発」も、新たに生まれる仕事になるでしょう。

OSTやワールドカフェのオンライン化は、すでに実用段階に入っており、大規模なものも含め、何度も実施しています。

また、現在、日本でAIを牽引しているマックス渡辺さん、香取一昭さんと共に、リモートAIの開発を進めています。

ODNJ(Organization Development Network Japan)には、OD×テックという分科会が立ち上がり、その中で「リモート組織開発」は重要なテーマとなっています。

5月22日のODNJのイベントでは、私も海外から発表させていただきます。

出版業界の未来予想

今回のオンライン読書会に400人が集まったことは、時代は「価値共創」のほうへと重心を移しつつあるサインかもしれません。

それを支えるインフラが、500人で同時に繋いで、小グループに分かれて対話することが可能なZoomや、それと組み合わせて使うことができる様々なプラットフォームです。

これまでには不可能だった協働的な学びを可能にするインフラや、共感で繋がりあうオンラインコミュニケーションを可能にするインフラが2016年ころから急激に整ってきたのです。

そのような時代背景の中、読書体験は、次の1)⇒2)⇒3)と移り変わっていくのではないでしょうか?

1)書籍を購入して読む。

2)同じ書籍を何人かで一緒に読み、オンライン読書会で対話する。(協働の学び)

3)関心の近い人たちとコミュニティを作り、様々な本で読書会を行う。(個人的な共創体験)

これらに、今回のように、著者が加わることで、読者からのフィードバックからヒントを得て、新たな書籍を執筆していくという動きが生まれると、さらに、共創体験の価値が高まっていくでしょう。

また、私たちの共創によって生まれた本だということで愛着が湧き、コミュニティメンバーを中心に確実に売れていくことから、出版社は、新刊を出版するリスクを抑えることもできるでしょう。

このような世界観を実現するためには、

・オンライン読書会ファシリテーター

・読書会コミュニティマネージャー

といった新しい仕事が必要になります。だから、私たち「与贈工房」は、主体的に自分を生きる人たちが、イキイキと生きられるような社会を作るために、新しい仕事を創り出しています。

「コミュ読ファシリテーター養成講座」についてはこちら

出版社が持つ書籍と著者ネットワークは、オンライン読書会や読者コミュニティとかけ合わさることで、コミュニティの文脈で新たな価値を持ち、再定義されていくのではないでしょうか。

また、これらは、人材育成のインフラとしても、再定義されていくのではないでしょうか。

 



私たちは、価値共創の未来の実現に向けて、日々、情報発信しています。

興味のある方は、メルマガ登録をお勧めします。

Zoom革命通信 ← Zoomでこんなことができる!

与贈工房通信 ← 生命型リモート組織が目指す世界

 

 

 

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=2233 0
奇跡が余白に舞い込む理由 https://masatotahara.com/?p=1968 https://masatotahara.com/?p=1968#respond Thu, 29 Sep 2016 04:52:10 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1968

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. 自分の凡庸さを認めると見えてくる世界がある 自分の凡庸さを認めると見えてくる世界がある 若いころの僕は、自分に才能がないことに薄々気がついていたものの、そ ......
  3. チームを支える人たち チームを支える人たち 僕は、反転授業のFacebookグループを立ち上げてから、オンラインで出会った人たちとプ ......
]]>
反転授業に関わるようになり、主体的な学びとは何かというテーマについて考え始めて3年が経過しました。

生徒の主体的な学びを引き出すためには、教師と生徒の関係性を変えていかなければなりません。

関係性とは、両者の在り方だから、生徒にだけ一方的に変化を求めるのではなく、教師も同時に変化することで、関係性の変化が起こるのです。

主体的な行動が起こるためには、余白が必要です。

余白があると、様々な想定外のことが起こります。

工業化社会における教育システムでは、学校も工場のように決められた予定に沿って秩序正しく動くことが求められ、「想定外のこと=エラー」と見なし、余白を徹底的に排除してきました。

教師の仕事の多くは、余白を与えないことに使われてきました。

だから、余白を与えるという行為は、これまでの在り方を大きく変えることになり、教師にとってはある種の恐怖を伴う行為なのだと思います。

僕自身も、かつては、教室で授業をするときに余白を排除してきました。自分が思ったとおりに授業が進むことを目指し、そして、その通りに10年以上、授業をやってきました。

5年前から反転授業を始め、授業の中に余白を作り始めるとすぐに気づいたことがありました。

それは、「余白には、奇跡が舞い込む」ということです。

つまり、想定外というのは、悪いことばかりではなく、よいこともあるわけです。

想定外のよいこと=奇跡は、余白を作ったからこそ起こりえることです。

しかし、余白を作ったからといって、いつも奇跡が舞い込むわけではない。カオス状態になり、そのまま崩壊してしまうこともあります。

余白に奇跡が舞い込むための条件は、いったい何なのでしょうか?

いろいろな実験の末、私が気づいたことを書いてみたいと思います。

条件1 奇跡は、縁をたどってやってくる

なぜ余白を作ると、想定外のことが起こりえるのかというと、そもそも自分が想定できる範囲範囲というものは、常に限定されているからですね。

すべての範囲を想定できる知性は存在せず、それぞれが、限定された想定範囲のもとで考えて行動しているのです。

しかし、幸運なことに、私たちは、それぞれ異なる考えや経験を持っているので、複数の人たちの考えを重ね合わせて和集合を作ると、1人では想定できない広い範囲をカバーできるようになります。

余白を作ることで、複数の人たちの考えを重ね合わせることが可能になったとき、その中の誰もが思いもよらないやり方で、目標が達成される可能性があるのです。

だから、自分の状況をオープンにしていくことで、よい方法を知っている人が入ってきて助けてくれたり、新しいアイディアを持ち込んでくれるスペースを作ることが大切になってくるのです。

でも、どうやったら、そのスペースに人が入ってきてくれるのでしょうか?

それには、普段から作り上げている信頼関係のネットワークが大切になってきます。

僕は、信頼関係でつながった人たちが、繋がりをたどってやってきて、助けてくれることを何度も体験しました。

フィズヨビでは、受講生のみなさんに、何度も助けてもらいました。

想いの部分が共通してたり、協力し合って目標達成をしたり・・・さまざまなきっかけで縁を紡いできた人たちが、利害関係を超えて動いてくれたときに、余白に奇跡が舞い込むのです。

それならば、余裕があるときには、積極的に、他人の余白に自らを投じて奇跡を起こしていこうという考えが生まれました。

そのようにして、普段から縁を大切に紡いでいけば、自分の想定を超えた様々なことが周りで起こっていくような奇跡に満ちあふれた人生になるのではないかと思ったのです。

条件2 在り方を発信する

「余裕があるときに縁を紡いでいくと、余白に奇跡が舞い込むようになる」という仮説に基づき、5月からペイフォワード予算10万円を、毎月使うことを始めました。

見返りを求めずに、自分が本当に応援したい人、縁を大切にしたい人に対して、感謝と応援の気持ちを表現するために、5万円、10万円というお金を寄付していくのです。

5ヶ月間やってみて、気づいたことがあります。

それは、特定の人にお金を払うことで応援しているということに留まらない結果をもたらしているということです。

一つは、お互いの持つ信頼関係のネットワークを繋いでいくことができるということです。

少なくない金額を応援のために払うことができる相手は、僕が信頼している相手だけです。

ペイフォワードをするという行為は、「僕は、この人を信頼しているんですよ!」ということを、周りに示す行為です。それは、「田原が信用しているのなら、信用できる人なんだろうな」ということで、信頼関係のネットワークをつなぎ合わせていく効果をもたらします。

もう一つは、自分の在り方を発信しているのだということです。

「みなさん~ 田原は本気でペイフォワードをしていくような人間ですよー」という在り方を発信し続けると、いろんな人が安心して声をかけてくれるようになってきたのです。

すごい頻度で、いろんな人たちと繋がり始めたので、いったい何が起こっているのかなと思ったのですが、おそらくこういうことではないかと思います。

誰かと一緒に仕事をしたり、プロジェクトをしたりするときには、みなさんも、相手が「奪う人」なのか「与える人」なのかを見極めようとするのではないでしょうか?

両者が「奪う人」同士なら、お互いに引っ張り合って、どこかで均衡します。

相手が、「奪う人」で、こちらが「与える人」の場合は、こちらのリソースをどんどん奪われて疲弊してしまいます。

両者が「与える人」の場合は、場に循環が起こり、創造のサイクルが回っていきます。

ペイフォワード予算についての発信を続けていくことは、「私は与える人です」ということを表明していることになり、たくさんの「与える人」が、僕のところにアクセスしてきてくれるようになってきたのです。

その結果、創造のサイクルが回りやすい状況が、次々に生まれています。

5ヶ月間続けてきて、ようやく自分のやっていることの意味が分かり、言語化することができました。

クラウドファンディングは、縁を紡ぐと同時に、自分の在り方を発信する機会

僕は、クラウドファンディングを応援することが多いのですが、そのときに、ただお金を払うだけでなく、縁を紡げる相手なのかどうかを見極めます。

そして、単にお金を払って応援するだけでなく、その人の活動にコミットして、一緒に達成を喜び合えるように応援していきます。

さらに、クラウドファンディングが終わった後も、その関係を大切にしていきます。

そのような在り方が、また、周りに伝わり、様々な縁をもたらしてくれます。

今月、ペイフォワード予算の50%である5万円をつぎ込み、一緒にZoomイベントを行い、全力で応援しているのが、映画監督の古新舜さんです。

僕が巣鴨学園で数学の非常勤講師をやっていたときに、古新さんは生徒として同じ学校に通っていたというところから始まり、ともに、早稲田大学理工学部応用物理学科へ進み、ともに、その後、予備校講師になり、今は、映像と教育とを結びつけた活動をしているという2人なので、強い縁を感じざるを得ません。

そして、古新さんもまた、縁を大切にしながら、与え合って創造を起こしていく「与える人」です。

クラウドファンディングは、本日(9月29日)が最終日で、達成まであと少しです。

古新さんの活動を応援している僕は、のクラウドファンディングを応援してくださる人に心から感謝し、応援してくださる人と縁を大切にしていきたいと思っていますので、支援した後に、ぜひ、田原までご連絡ください。

クラウドファンディングは、まさに、不確定な未来へ自分を投げ出していく挑戦です。

古新さんが作った余白に、一緒に奇跡を舞い込ませてみませんか?

古新舜が贈る!長編映画「あまのがわ」〜分身ロボットOriHimeと自分探しの旅〜

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1968 0
生きるためのx、自分と繋がるy https://masatotahara.com/?p=1942 https://masatotahara.com/?p=1942#respond Sun, 11 Sep 2016 00:14:50 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1942

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
  3. メンタルヘルスのための匿名チャット「くまココ」 自己組織化ファシリテーターの田原真人です。 熊本地震の後、有志が集まりメンタルヘルスのための匿名チャット「くま ......
]]>
生き物は、生まれた瞬間から学び始める。

学ぶことは、生きることと不可分なのだ。

外から情報を取り入れ、自分の中で統合し、身体知へと変えていくことで、外部を内部に取り込んでいく。

このときに大事なのは、入ってきた情報に対してフィードバックループを回し、自分で取捨選択して統合していくというプロセスだ。

何かしらの理由でフィードバックループが切断され、統合化のプロセスが回らないと、魂は呪縛される危険にさらされる。

人間も自然の一部であるのにも関わらず、デカルトは人間の理性を自然と切り離し、理性によって切り離した記述空間を作り出した。

その自然と分断された空間の中で科学は誕生し、科学は機械文明を生み出した。

機械文明における規範は、すべてが予定通りに動くことである。不確定要素は排除すべきものであり、予定通りに動かない部品は不良品である。

自然は、人間の居住空間から追い出され、コンクリートで固められた都市空間が誕生した。ここでは、すべてが予定通りに動くのだ。

追い出されたのは、外部の自然だけではない。

人間の内部に存在する自然も、不確定要素を生み出すものとして排除されてきた。

社会秩序を構築するために、人間は内なる自然から沸き上がってくる感情を抑え、社会における役割を正確にこなしていくことを求められるようになってきたのだ。

このような機械文明的な社会秩序を構築するために、学校教育が利用されてきた。

一方的に大量の情報を流し込み、各自が自分の中でフィードバックループを回して統合する時間を与えないようにすると、子どもたちの魂は呪縛されていき、魂の上に蓋を創り、蓋の上に機械文明への適応のためのインターフェースを構築する。

このようにして、機械文明を支える人間が大量生産される。

機械文明がもたらした恩恵もある。機械文明が生まれなければ、私は、日本のどこかの田舎で、農業をして一生を送る以外の選択肢を持つことができなかっただろう。このようにインターネットによって様々な情報にアクセスし、ブログに記事を書いて多くの人たちに発信することができるのは、まさに機械文明のおかげだ。

しかし、だからといって機械文明のもたらした闇を肯定することにはならない。

きちんとフィードバックループを回し、主体的に機械文明の中で取り入れる部分を残し、捨てるべき部分を捨てる判断をしていくことが重要なのだと思う。
 
機械文明は、自然のすべてを記述空間の中に写し取り、思い通りに管理できるはずだという証明されていない前提に基づいて突き進んできた。
 
しかし、1970年に見つかった「カオス」により、非線形システムの挙動は予想不可能であることが記述空間の内部で証明された。生命は、まさに非線形システムであり、その振る舞いを予想し、制御することは原理的に不可能なのだ。
 
「自然を完全にコントロールする」という機械文明の思い描いた夢は、すでに実現不可能であることが確定しているのだ。

現在、機械文明がもたらしている深刻な問題は、2つの自然破壊だと思う。

1つ目の自然は地球だ。自然を克服するという旗を掲げて突き進んできた機械文明は、毎年、地球の生産量の1.5倍を消費するようになるまで膨張してしまった。自分の乗っている宇宙船地球号を食いつぶしていった先には、当然ながら未来は存在しない。

もう1つの自然は人間の魂だ。蓋によって封じ込められた魂は、暴力的に発露する。それは、自分自身に対する暴力(=病気や自殺)という形を取ったり、他人に対する暴力(=ハラスメント、差別、戦争)といったものが起こりやすくなる状況を生み出す。

この状況をどのように変えていけば良いのだろうか?

一番最初に戻って考えてみよう。

機械文明は、デカルトが内なる自然である魂と外部世界とを切断し、分断を生み出したことから始まった。

デカルトは、『方法序説』において、複雑な現象を理解するために、十分に簡単だと思われる要素に分割して理解した後、それらを総合して全体を理解する分析と総合の手法の有効性を説いた。

これは、機械論を支える要素還元主義を生み出した。

しかし、自然は、分析と総合の手法によって理解できない存在だ。

魚を切り分けてしまったら、「生きた魚」という存在は失われてしまう。

非線形システムは、要素の集合体以上の全体性を持っていて、その全体性は分割によって失われてしまうのだ。

今、私たちがやらなくてはならないのは、分断されてしまった世界を統合していくことだと思う。

まずは、人間の魂と外部社会とを隔てる蓋を溶かし、人間の内部に生まれている分断を統合するところから始めよう。

それが、生きるためのx、自分と繋がるyという学びを立ち上げようと思った理由だ。

xやyには、各自が好きなものを入れて、好き勝手に初めて欲しい。
 
まずは自分が先頭を切り、xに物理を代入し、「生きるための物理」をやってみる。

9月18日に、そのコンセプトについて語る予定だ。

「生きるための物理」とは何か

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1942 0
ペイフォワード予算10万円を4ヶ月間使ってみて気づいたこと https://masatotahara.com/?p=1912 https://masatotahara.com/?p=1912#respond Sat, 30 Jul 2016 09:24:58 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1912

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
  3. メンタルヘルスのための匿名チャット「くまココ」 自己組織化ファシリテーターの田原真人です。 熊本地震の後、有志が集まりメンタルヘルスのための匿名チャット「くま ......
]]>
お金の使い方について、面白い実験をしている。

2016年3月まで、毎月、10万円をリスティング広告に使っていたのだが、それをやめて、代わりにペイフォワードに使うことにしたのだ。

4月から7月まで、毎月10万円ずつ使ったので、ペイフォワードに使った金額の合計は40万円になった。

ちなみに8月も続けようと思っている。

ペイフォワード予算を設定し、感謝と応援の気持ちからお金を使っていくという実験的な試みが、自分の内部と外部にどのようなことを引き起こしているのかを、みなさんと共有したいと思う。

ペイフォワード予算を始めたきっかけ

まず、どうしてこんなことを始めたのかということから説明したいと思う。

きっかけは、僕の生活を支えている仕事であるフィズヨビを大きく変化させたことだった。

このブログを読んでくださっている方はご存知かもしれないが、僕は、反転授業の研究というオンラインコミュニティを主催している。

そこでは、外発的動機付け(飴とムチ)を減らし、内発的動機付けによって自ら学ぶことの大切さについて対話してきた。そして、対話が深まるに従い、自分の心が変容してきた。

自分の心が変容すると、自分とフィズヨビとの間に不調和が生まれ、それまでのやり方でフィズヨビを維持することが難しくなってきた。

日本の教育システムは、偏差値で序列化された大学というポジションを飴とムチに使い、大学受験というレースに生徒を駆り立てる仕組みである。その仕組み自体に疑問がわいてくると、そのレースに勝つ方法を教える「予備校」という存在を自分が続けていくことが苦しくなってきたのだ。

しかし、「合格」や「成績が上がる」といった分かりやすいメリットを示して人を引き付けないと、仕事として成り立たないのではないかという思い込みを手放すことが難しく、心は変化を求めている一方で、なかなか一歩を踏み出すことができずにいた。

変化を求める心に対して、恐れがブレーキをかけていたのだ。

そのままの状態で1年が過ぎ、自分の心の中のダムが決壊する形で、2016年5月に、方向性を大きく変えたホームページを作り、新しいフィズヨビがスタートした。

新しいフィズヨビでは、飴とムチに関わる表現を無くし、「自ら学ぶ・未来を創る」というキャッチフレーズとした。

ホームページの変更に伴い、今までグーグルアドセンスに使っていた広告費10万円/月を再考することにした。

フィズヨビを自然の摂理に沿った学びにシフトしたいと思ったときに、広告費に10万円/月払うという在り方がしっくりこなかったのだ。

でも、今まで使っていた10万円/月をゼロにするのではなく、せっかくだから、これからのフィズヨビの在り方と一致する形で使いたいと思った。

それで思いついたのが、感謝と応援に使うことだった。

広告によって強引に人を集めるのではなく、ペイフォワードによる循環が起こって自分も生きていけるようになればうれしいなと思った。

そう思ったらワクワクしてきて、始めることにした。

最初の一歩

自分のマインドセットを変えるために、とりあえずやってみようと思った。

そして、自分が今の活動をすることができているのは、誰のおかげだろうかと胸に手を当てて考えてみた。

そしたら、ワールドカフェホストのエイミー・レンゾーさんの顔が浮かんできた。

ワールドカフェのことを教えてくれたのもエイミーさん。

オンライン講座のやり方を教えてくれたのもエイミーさん。

Zoomの存在を教えてくれたのもエイミーさん。

エイミーさんからは、たくさんのものを受け取っているということに思い至った。

ワールドカフェはオープンソースだから、誰でも自由に使うことができ、世界中に広まっている。その一方で、中心になって活動している人たちにはお金が回っていかない。

ワールドカフェの恩恵を受けている人たちが、自ら自分の意志で感謝を込めてお金を払っていけば、愛を起点とした循環が生まれていくのではないか。

そんな循環を意図して、まずは、自分から動いてみようと思い、エイミーさんにメッセージを送り、1000USDを寄付したいということを伝えた。

自分はすでにたくさんのものをエイミーから受け取っていると感じているから、その感謝を表現したいんだと伝えた。

エイミーさんは、驚いた様子だったが、僕の意図をよく理解してくれた。

そして、社会に循環が起こるために何が必要なのかということについて、ふたりでいろいろなやり取りをした。

やり取りをしながら、心の中に大きな満足感があった。

何だか、今までにないクリエイティブなお金の使い方を見つけたような実感があった。

最初のアクションの満足感が大きかったので、ペイフォワードをしばらく続けてみることにした。

ペイフォワードすることによって起こった内面の変化

この活動をする上で一番大事なのは、ロジカルに考えないこと。

循環が創発するという自己組織化は、僕の限られた情報の中からロジカルに考えた答えからは出てこないのだから、それを手放そうと思った。

その代わりに、お金を払うときに自分の中で喜びがあるかどうかという感覚にゆだねることにした。

お金を払うことをイメージしたときに、感謝や応援の気持ちが自分の内部にあふれて、お金に魂を込めて相手に渡せるそうな気がするかどうかということで決めることにした。

10万円というお金は、僕にとって大きいお金なので、

・自分が今の活動をできているのは、誰のおかげだろうか?

・自分は、どこに感謝を感じているだろうか?

ということを、頻繁に考えるようになった。

その結果、必然的に、自分の日常の中に感謝について考える時間が増え、生活が変化した。

毎月、立ち止まって、10万円の支払先を考えながら、真剣に「自分はどこに感謝を感じているだろうか?世界のどこを応援したいと思っているだろうか?」と自問自答する時間を持つことで、自分の意識が変わっていくのが分かった。

それは、

「今、この瞬間、自分のエネルギーをどこに注ぐのがベストだろうか?」

という問いにもつながっていた。

毎月、これらの問いについて考える時間を作っているということに、すでに10万円以上の価値があるように思えた。

ペイフォワードから始まった物語

ペイフォワードするときに気を付けていることは、見返りを求めないということ。

お金を「交換」ではなく、感謝と応援に使わなかったらペイフォワードにはならないと思うからだ。

ペイフォワードするという行為が、相手の心を動かし、エンパワーし、次の創造へと繋がり、循環を起こしていくことを祈りながら、ただ払う。

あと、最近気を付けているのは、ペイフォワードはお金だけではないということ。

僕の頭の中には、損得勘定という慣れた思考の枠組みが存在しているから、そこに陥りやすい。自分がお金以外のペイフォワードを意識するようになると、他の人が自分にしてくれていることにも気付くことができるようになり、感謝を感じられるようになる。

最近起こったすてきなことを、列挙してみる。

 

(1)IAFの国際会議に参加することになった

台湾で行われるIAFの国際会議の1つのセッションを、香取一昭さん、エイミー・レンゾーさん、僕の3人で担当することになった。

僕をワールドカフェの世界に誘ってくれたもう一人の恩人である香取さんが、Hybrid Online Facilitation – Technology Accelerate Global Collaborationという分科会の共同ホストとして、僕を誘ってくれたのだ。台湾の会場と、Zoomのオンラインの場とをつなぎ、香取さんがリアルの場、エイミーさんがオンラインの場をファシリし、僕は台湾の会場にいてリアルとオンラインの場を橋渡しをする。今までやってきたバーチャルファシリテーションの実践についてストーリーテリングする機会もいただいた。実績十分の二人に交じって共同ホストをさせていただけることが、とてもありがたい。

香取さん、エイミーさんと3人でZoomで行う打ち合わせが、すでに僕にとっては学びの宝庫だ。香取さんやエイミーさんが、どんな風に考えてワールドカフェの問いを作っているのかをまじかに見るのはとても勉強になる。台湾で多くのファシリテーターと直接会って話すことができることもすばらしい経験になると思う。

(2)外国ルーツの子どもたちのオンライン講座のクラウドファンディング達成

昨年から応援している田中宝紀さんが、Zoomを使った日本語のオンライン講座を配信するためのプラットフォームを立ち上げるためのクラウドファンディングを始めたので、ペイフォワード予算を使って応援した。

クラウドファンディング達成を応援するために、オンラインイベントを企画したりもした。

繋がることで共創のサイクルが回っていくことに喜びがあり、そこに自分のお金とエネルギーをつぎ込んでいくことに躊躇はない。

田中さんのソリューションに、僕が取り組んできたZoomが採用されていることにも喜びがある。

語り合うことからアイディアが生まれ、よいものが創造されていくことに希望がある。

(3)江藤由布さん、桑原恭祐さんのラーニングスプラッシュのクラウドファンディング達成

8月に一般社団法人オーガニックラーニングが実施するワークショップ「ラーニングスプラッシュ」は、反転授業の研究からも多くのゲストが登壇する。僕たちの未来を江藤さんと桑原さんが先頭に立って切り開いてくれるイベント。

そのことがとてもありがたく、現地に行けない僕は、資金援助という形で応援することにした。

教育界で、こんなことをやれるんだという先行事例を作ることで、後に続く人の道が開けると思う。

その活動にコミットメントできたことに喜びを感じている。

(4)筒井さんたちの社団法人にコミットすることになった

反転授業の研究のオンライン講座は、運営ボランティア制度を導入している。これは、京都精華大学で筒井洋一さんがやっていたCT(Creative Team)を真似して導入したものだ。

そのおかげで反転授業の研究のオンライン講座は、非常に豊かな学びを生み出すことができ、生態系のように信頼関係のネットワークが広がっていくものとなった。

きっかけを与えてくれた筒井さんに感謝の気持ちを伝えてペイフォワードしたところ、現在設立準備中の社団法人の会員番号1番をいただくことになった。

学びを外に開いていこうとしている筒井さんの活動にコミットできることはうれしい。お金を払うということは、コミットメントを高めていくということなんだという学びがあった。

(5)フェアリー基金が設立

実は、ペイフォワード予算を始める前に、そこにつながる素敵な体験があった。

由佐美香子さんがやっているワークショップに興味があり、参加したいと思っていたけど、地理的に参加できないよなぁーと思っていたとき、バリコス企画の吉田恭隆さんが動画販売を始めてくれたので、継続してほしいという願いを込めて、少し多めに振り込んで、残りの金額を寄付した。

それが動画販売の最初の試みで、最初の申込者である僕が寄付を申し込んだことで、企画自体が祝福された気持ちになったということで、予想外に大変感謝された。そして、僕が東京へ行く予定に合わせて由佐さんがワークショップを開いてくれることになった。

そこから、由佐さんの講座をいっしょにオンラインで実施することになったり、吉田さんが一定金額以上の売り上げが上がったら動画を無料開放するという企画を立ち上げたり、活動がシンクロしながら縁が紡がれていった。

そういう一連の流れを思い起こし、最初のきっかけを与えてくれた吉田さんにペイフォワードすることにした。

吉田さんは、とてもよろこんでくれ、揺らぎから何かを生み出していくというプロセスに可能性があるといって、フェアリー基金というものを立ち上げ、そこに僕のお金を入れてくれた。このお金は、創造につながる揺らぎを増幅するために利用されていくとのこと。どんなことになるのかがとても楽しみだ。

 

今まで、自動的にグーグルに広告費として引き落とされていたお金を、意図に沿って魂を込めて使い始めると、たった4カ月でいろいろな物語が生まれてきた。

同時に、それは、僕の内在的世界を変化させるのにも大きな役割を果たすようになった。

短期的、直接的なメリットが見えないものにお金を使うということに、僕たちは慣れていない。

しかし、循環を意図するのなら、そこにこそ、お金を使っていく必要がある。

いつまで続けられるかわからないが、8月もペイフォワード予算を使うつもりだ。

 

 

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1912 0
メンタルヘルスのための匿名チャット「くまココ」 https://masatotahara.com/?p=1840 https://masatotahara.com/?p=1840#respond Fri, 20 May 2016 00:20:49 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1840

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
  3. 比喩によって見えないものを見せる 比喩によって見えないものを見せる 僕が10年以上かけて確立してきた物理の教え方である「田原の物理」 その特徴は ......
]]>
自己組織化ファシリテーターの田原真人です。

熊本地震の後、有志が集まりメンタルヘルスのための匿名チャット「くまココ」を立ち上げることになりました。

「くまココ」が、必要な人へ届き、私たちが意図しているような使われ方をされることを願って、ここに私たちの物語と願いを書いておきたいと思います。

田原真人(まさと)

masato05

2011年当時、仙台で物理の予備校講師をしていました。また、副業で「フィズヨビ」というネット予備校を運営していました。

東日本大震災と原発事故をきっかけに予備校講師を辞め、仙台を離れました。

そのときに、被害の程度の違い、置かれた状況の違い、放射能リスクの見積もり度合いの違い・・・・など、様々な違いが表面化し、自分の考えていることを口に出すのが難しくなり、孤立していくという経験をしました。

表面的な繋がりは、地震と原発事故をきかっけに、脆くも断ち切られ、多くの分断が生まれ、当時の私は、それに対して何もすることができませんでした。

しかし、その経験がきっかけとなり、「繋がりを取り戻す」ということが、大きなテーマとなりました。

なぜ、私たちは、あの時に、簡単に分断されてしまったのでしょうか?

それは、「私たち」のコミュニティを形成していなかったからじゃなかったのかと思いました。

すでにある組織に組み込まれていく場合、最初に組織の掲げるゴールがあり、そこに必要な交換可能な「部品」として個人が組み込まれていきます。

組織の中での個人間の繋がりは希薄で、個人は報酬を得ることを動機にはたらき、それぞれが決められたことをこなすことで組織が回っていきます。

このような組織、社会において、個人は、いとも簡単に分断されていくのです。

組織や社会のために人がいるのか?

人が集まって組織や社会ができるのではないのか?

ここに逆転現象が生じて、本末転倒の状況が生まれているように感じ、具体的に繋がりを取り戻していく行動を始めました。

「反転授業の研究」というオンラインコミュニティを作り、テストのために学ぶのではなく、自ら動き、自ら学び、周りと協力して未来を創っていくような学び方へシフトしていくためにはどうしたらよいかを話し合いました。コミュニティは約4000人にまで増え、関係性の中から数々のドラマが生まれました。

そして、それらのドラマによって、「私たちのコミュニティ」へと成長していき、コミュニティに生まれたドラマがメンバーに生きがいを与えてくれるようになりました。

組織が先にあってそこに人が組み込まれるのではなく、人と人との繋がりから活動が自己組織化するのが本来の姿なのだということを実感しました。

反転授業の研究では、「熊本×反転G 支援を反転する」という活動を始め、オンラインで繋がり、熊本からの発信に耳を傾けることによって、お互いにエンパワーし合うという取り組みをしています。

東日本大震災から5年たち、私たちは繋がる力の持つ意味を理解することができました。

どのようにすれば繋がりを取り戻すことができるのかも理解できるようになってきて、自己組織化ファシリテーターとしての活動をするようになりました。

熊本震災が起こったとき、何もできずに分断され孤立した5年前の自分のことを思い出しました。ここで、5年間の学びの成果を生かすことができれば、自分自身にとっても大きな癒しにつながると感じています。

2016年2月には、U理論の翻訳者、由佐美加子氏を講師に迎え、「全体性から生きるAuthentic Leadership 基礎特別編」というオンラインワークショップを実施しました。その中で、NVC(非暴力コミュニケーション)のワークを通して、聴くことがどのようにエンパワーに繋がるのかを体験を通して学びました。それらの学びも、今回の取り組みに役立つのではないかと思います。

Ane Ein(エイン)

エイン
田原がエインさんと出会ったのは3年前。社会の構造的な問題を考えるためには、日本を外から見ないと分からないと考えて、Language Exchangeで学び合いのパートナーを探していたときに、当時、18歳だった彼女と知り合いました。

アーティストであり、起業家でもある彼女の存在は、本当に大きな衝撃でした。

社会のことや、教育のこと、精神のこと・・・様々なことをスカイプで話し合い、交流を深める中で、一緒に「Noovo」という会社を作って社会を変えていくことを決め、資金調達のためのクラウドファンディングを実施しました。

こちらからそのときの連載を読むことができます。

ヒエラルキーに満ちた社会をフラットにしていくためにできること

連載を読むと分かるように、エインさんは、過酷な人生を送っています。しかし、それが、彼女の共感力や、本質をまっすぐに射抜く力の源にもなっていると思います。熊本震災のことを知ったとき、PTSDの発生などを心配し、匿名チャットのアイディアを出し、ロゴを作り、チャットシステムを立ち上げたのはエインさんでした。

エインさんからのメッセージ

I hope that it reaches many people.
いっぱい人々に届いてほしい

ありがとう、Masato
この記事に大事なことをきれいにまとまってくれて

江藤由布(ゆう)

masato05

「反転授業の研究」で繋がった江藤由布さんは、近大附属高校の英語教師です。エインさんのクラウドファンディングのときに「個が尊重される社会を作る」というビジョンに共感し、熱烈に応援してくれました。

その後、高校教師という枠組みを大きくはみ出し、2015年には一般社団法人オーガニックラーニングを設立。テストのために学ぶのではないオーガニックな学びによって、人生の経営者を育てるための活動を始めました。教育について同じ志を持つ仲間として、さまざまな活動を共にしています。今年の4月には、田原が主宰する「反転授業の研究」との共同開催でオンラインワークショップ「YOU∞理論」を実施し、お互いが話を深く聴きあう中で根っこで繋がりながら掘り下げていき、根っこの想いに繋がるワークを行いました。

江藤さんは、同じビジョンを持つ同士であり、心強い味方です。

佐藤さわ(さわ)

masato05

仙台でSawa’s Cafeを営む佐藤さわさんも、東日本大震災をきっかけに人生を大きくシフトした一人。公認会計士を辞め、NPOこころの休憩所を立ち上げ、人と人との繋がりを大切にするために活動を始めました。

エインさんのはじめたクラウドファンディングを応援してくれたころから縁が深まり、社会の逆転構造を、再逆転して元に戻していくための活動をともにするようになってきました。

Sawa’s Cafeは、社会変革の実験台として、収益をすべて公開し、経営者である店主とお客さんの境界を取り払って一緒に運営を考えていくというやり方を実施しています。

社会変革ファシリテーターのBob Stilgerさんの著書『未来が見えなくなったとき、私たちは何を語るのだろう』を読んだとき、すぐにさわさんに紹介しました。この本には、東日本大震災のときに私たちが感じたこと、そして、今、生まれようとしていることが書いてありました。

私は、Bob Stilgerさんに連絡を取り、スカイプで話をし、活動を応援することを約束しました。

昨年、Bobさんと榎本英剛さんが東北ラーニングジャーニーを企画していることを知り、そのことをさわさんに伝えると、さわさんが、参加することになりました。

福島各地を訪れ、現実を目にし、アクティブ・ホープの「つながりを取り戻すワーク」などを行うラーニングジャーニーを通して、さわさんは、多くの人たちと繋がりを深めていき、仙台を拠点に力強い渦を巻き起こしています。

「全体性から生きるAuthentic Leadership基礎編」「YOU∞理論」などの活動も共にし、聴くことについて共に学んできました。

さわさんよりメッセージ

誰かに話すだけで気持ちが楽になることは絶対にある」というのは、Sawa’s Cafeのコンセプトでもあります。でも、相手の顔を見ながら弱音を吐いたり愚痴を言うのは、私自身がとっても苦手。だから、顔を出さずに匿名でただ流れていくような掲示板は、使いかた次第で本当に救いになると信じています♪

広本 正都子(せつこ)

masato05

東北ラーニングジャーニーでBobさんの通訳を務めていたのがせつこさんでした。せつこさんは、フランス在住ですが、Bobさんや榎本さんの活動に共感して、手伝うことができればということで、はるばる東北へやってきました。

せつこさんとさわさんが、東北ラーニングジャーニーを通して繋がりました。

Bobさんが、仙台のSawa’s Cafeを訪問したときに、オンラインでつないでもらい、田原とせつこさんもそこに参加しました。

7月には、持続可能な社会の在り方を学ぶためにジンバブエに行くラーニングジャーニーが企画されていて、さわさんは、そこに参加することを予定しています。せつこさんも通訳として参加するそうです。

縁は、国境を超えて紡がれています。

田中力磨(りきま)

masato05

りきまさんは、滋賀県で自宅を使って「塾みたいなもの」をやっています。普通の塾と違うのは、教えるのではなく、育てることに重心を置いているところ。感情に素直に従うりきまさんの在り方に触れているうちに、子どもたちが自分から学び始めるのです。

りきまさんが経営しているブリッジに興味が湧き、インタビューさせていただいたことから縁がつながりました。

専属コーチのブリッジ代表、田中力磨さんインタビュー

りきまさんが、今の仕事をするようになったきっかけは、就職した会社でパニック障害を発症して、何度も転職をせざるを得なくなったことでした。しかし、それが、自分としっかり繋がって生きるという今のりきまさんの在り方に繋がっているのだと思います。

在り方をテーマに対談もしました。

阪神大震災の記憶を持っているりきまさんは、今回の熊本地震に対して何かをしたいということでチームに加わりました。

りきまさんからのメッセージ

『僕はこのプロジェクトをボランティアだとは思っていません。これは自己デトックスです。自分の経験や体験したことが、誰か一人にでも届けばと思っています。幸せの根が繋がれば幸せな人が増えると思っています。』

片橋匠(たくみ)

masato05

田原が開催するオンラインの試みに熱心に参加してくれた熊本大の大学生がたくみさんでした。

海外志向が強く、様々なことにチャレンジしていました。

私と初めてリアルで会ったのは、出張先のシンガポールでした。たくみさんは、インターンでシンガポールで来ていて、ご飯を食べながらいろいろなことを語り合いました。

熊本で地震が起こり、被災したたくみさんは、避難所の小学校から冷静なレポートをFacebookに投稿し続けていました。

協力して何かができないかと思っていたときに、たくみさん、エインさん、さわさんから「くまココ」のアイディアが出てきて、それに私も参加することにしました。

自分自身も被災している状況の中で、たくみさんが現場で動いてくれたことで、くまココを立ち上げることができました。

こんにちは。熊本の大学院生の片橋です。熊本地震により「増幅された分断」を、避難所など各所で目の当たりにし、途方にくれました。 健常者とハンデがある人。若い人、年配の方。家が無事だった人、全壊だった人。生き残った人、お亡くなりになられた方。被害がひどい所、割と無事な所。物資が行き届いた避難所、全く足りない避難所。そして、立ち直りが早い人、耐え難い苦しみを抱えておられる方。 そうした分断は、震災が起こる前からも、実はずっとそこにありました。ただ、表に出ておらず、見えていなかっただけです。そうした分断に、被災してから気づきました。 お互いの立場こそ違えど、同じ被災者であり、熊本に心を寄せる仲間です。相手の立場に完全になりきる事は不可能だけど、1%でもいいから寄り添い、分断の壁を乗り越え、より建設的な復興をデザインしていきたい。「くまココ」が、そうしたささやかな場所になりますように。

林和文

masato05
片橋さんが、大学1年生だった5年前に出会ったのが、子ども向けのプログラミング教室(ハッカデミー)を経営していた林和文さん。

林さんが長年勤めていた会社を退職して立ち上げたハッカデミーは、年齢や肩書き、学校や会社の枠を飛び越えて、子どもも大人も集まってくる場所で、皆がそれぞれの好きな事に夢中になり、遊びながら学び、学びながら遊ぶという場所で、大学での学びにやりがいを見いだせなかった片橋さんにとって、熊本にあるMIT、松下村塾のようなかけがえのない存在になったのだそうです。

林さんと片橋さんは、カフェで毎週のように語り合い、起業家精神やIT、人生相談まで何でも語りあい、片橋さんが留学するときには、林さんが、

「自信や可能性を狭い場所に閉じ込めるのは、もう終わりにしよう。見切り発車で熊本から世界に飛び立つんだ!」

と声をかけてくれたおかげで決意を固めて踏み出すことができたのだそうです。

しかし、熊本地震の1カ月前に突然の火災によりハッカデミーが全焼し、追い打ちをかけるように熊本地震が起こりました。

林さんは、そんな状況の中でも、

「家事、地震で全部失ったからこそ、なにが大切なのかがとてもシンプルになった。“モノありきでないと何もできない” この思考から、今こそ熊本はパラダイムシフトをすべき時。ハッカデミーが無くなっても、人と人とのつながりは残った。人が2人いれば、いつでも、どこでもコミュニティーはできる。そのつながりこそが宝物。」

と明るく前向きに語っていたのだそうです。

林さんは、こちらの記事で紹介されています。

起業してすぐに会社が全焼。それでもポジティブに生きる人に話をきいてみた。

片橋さんの紹介で、林さんがくまココの有志ボランティアに加わって下さいました。私たちは、皆、人と人との繋がりからこそ、何かが生まれると信じて行動しています。くまココも、人の繋がりから生まれるものの1つになると確信しています。

 

なぜ匿名チャットを立ち上げたのか?

東日本大震災のときに、身近なところに想いを分かってくれる人がいないことが辛かったのです。

身近な人だからこそ、言えないことがたくさんありました。

そんなときに、インターネットで自分と同じようなことを感じている人を探し、見つけることができたおかげで救われたという体験がありました。

Twitterや2chもありますが、それらは炎上する可能性があります。

メンタルが弱っているときに心無い言葉を投げつけられたり、攻撃されたりするのは辛いです。

実名を出している有志ボランティアが荒れないように見守っている中で、匿名で書き込むことができるチャットがあれば、助けになるのではないか?

私たちの経験から、そのような結論になりました。

くまココは、muut.com というチャットシステムを使っています。

1)登録なしで、匿名で書き込むことができます。

2)muut.comにアカウントを作成し、ハンドル名、または、実名で書き込むこともできます。

まずは、こちらから気軽に訪問してください。

くまココ

 

熊本のみなさんへのお願い

まずは、気軽にアクセスして、書き込んでみてください。匿名でOKです。

そして、もし、メンタルが弱っていて、誰かと繋がることを求めている人が周りにいたら、くまココのことを教えてあげてください。

このチャットが、必要な人のところに届き、意図通りの使われ方をされることを手伝ってください。

私たちに足りないのは、このチャットを必要な人へ知らせる手段です。

掲示用のポスターも用意してありますので、ご連絡いただければお届けします。

みなさんの力を貸してください。

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1840 0
分断を乗り越えて繋がることは、誰にとってもエンパワーになる https://masatotahara.com/?p=1829 https://masatotahara.com/?p=1829#respond Sun, 24 Apr 2016 00:44:56 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1829

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(2):大転換 ジョアンナ・メイシー、クリス・ジョンストン著『アクティブ・ホープ』についての感想を連載している。 この本は、社 ......
  3. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
]]>
熊本地震が起こってから、ずっと心がざわついていた。

最初は、その理由がよく分からなかったが、少したって、それが、東日本大震災の記憶を呼び起こしているからだと気づいた。

東日本大震災は、僕にとって自分を変容させる大きなきっかけとなった。

当時、僕は、仙台に住んでいた。

地震、津波、原発事故・・・

目まぐるしく変わる状況の中で、家族の安全を確保するためにどうしたらいいのか、ほとんど寝ないでネットで情報収集しながら、毎日、何かしらの決断をしていくという日々が続いた。

僕達は、その後、仙台を離れることに決めた。心の中で感じていることを言うのが憚られ、多くの感情が抑圧され、棘のように心に刺さったままになったように感じた。

被害の状況は人によって様々で、置かれている状況も様々・・・。

ある人にとってのよい決断が、別の人にとってよい決断とは限らないわけなんだけど、違う決断をすることが、別の人の決断を否定してしまうような気がして、僕を含めて、多くの人が口をつぐんでしまったように思った。

当時の僕のコミュニケーション力では、その分断を超えてつながり直すことができず、自分自身に無力感を感じた。

「反転授業の研究」を始めたのは、人と繋がりたいという欲求が、かつてないほど強まっていたことが関係していると思う。

対話を通して人と深いレベルで繋がり、協力して何かを成し遂げていくことを学ぶことが、分断を超えてつながる力を身に着けていくことになると思った。

東日本大震災の後、5年間で多くのことを学び、かつてはできなかったことができるようになってきた。

熊本×反転G「支援を反転する」

熊本地震が起こったときに、自分の中で起こった反応は、「あの分断が、再び繰り返されるのか」ということだった。

それが、自分を落ち着かない気持ちにした。

ただ、5年前と違うのは、自分は、多くの人たちとオンラインで繋がっていて、思っていることや感じていることをお互いに話して、受け止めることができる安心安全の場があるということ。

「反転授業の研究」のメンバーには、熊本在住の仲間も多く、4月18日の夜、10人以上でZoomで集まって話をすることができた。

最初は、自分の心の反応が表面化していて、それが、発言にも出てしまっていたため、周りから心配されるほどだった。

でも、話をしているうちに落ち着きを取り戻すことができ、熊本から繋いでくれていた溝上広樹さんの声を聴きながら、自分の状態を把握できるようになってきた。

筒井洋一さんから出てきた「支援を反転する」というアイディアは、僕たちが「反転授業の研究」でやってきたことを象徴するようなものだった。

安心安全の場を創り、熊本からの声を受け止めていくこと。

言い憚られることを、受け止めていくこと。

これが、かつてはできなかったけど、今の自分たちならできることだと思った。

今の自分は、無力ではないということを確認することは、僕にとってもとても勇気づけられることだった。

熊本×反転G「支援を反転する」

メンタルケアの匿名チャット「くまココ」

熊本の避難所にいる大学院生の片橋匠さんとは、様々な活動を一緒にやっている。

彼が「昼間はいいんですが、夜は本当に怖い」と言っていたのを受けて、ロンドン在住の起業家であるエインさんが、匿名で交流できるチャットアプリを作った。

それが、「くまココ」

くまココにはこちらから自由に参加できます。

エインさんは、熊本でのPTSDの発症を心配し、次のように言っていた。

PTSDが最初から出る理由は、
Lack of connection
どうしても理解されない孤独

この企画にすぐに乗ってきたのが、仙台でSawa’s Cafeを営む佐藤さわさん。

彼女も、東日本大震災で人生を大きくシフトした一人。

さわさんは、Facebookで次のように呼びかけた。

おはようございまーす!
有志でこんなの作りました!

【くまココ〜だいじょうぶ。夜もずっと、ここにいますから】

「くまココ」は、熊本地震で安心したい人と、励ましたい人をつなぐ、有志による匿名、顔出し不要のチャットです。↓↓↓

http://sawascafe.com/kumakoko

避難所で眠れずに、誰かに気持ちを聴いて欲しくなったとき、
先がみえない不安に押しつぶされそうになったとき、
弱音や愚痴で構わないから、気持ちを書き込んで欲しい。

被災地外のかたは、ココロに寄り添う返信でご協力ください!
とくに、東日本大震災を経験したあたし達は、役に立てるはず!

拡散よろしくお願いしますm(_ _)m

フランスから広本正都子さんも有志のボランティアに参加してくれました。

せつこさんは、社会変革ファシリテーターのBob Stilgerさんと、「よく生きる研究所」の榎本英剛さんが企画した東北ラーニングジャーニーで、通訳をされていた方です。ラーニングジャーニーに参加していたさわさんとつながり、今回は、時差を利用して深夜の見守りを中心に活動してくれます。

せつこさんからのメッセージはこちら

私は去年11月福島でご一緒してさわさんと知り合いました。今はフリーランスで活動中です。東北は大槌や陸前高田などでボランティアしたり、その他訪問しました。私もオンラインの可能性にとても注目していて、グローバルにできることを模索したいと思っています☆ よろしくお願いいたします!

エインさんが、早速くまココのロゴを作りました。

kumakoko01

匿名チャットに、安心安全の場を創って、言いにくいことを吐き出していくことで、「どうしても理解されない孤独」を乗り越えていきましょう。

阪神大震災や東日本大震災の経験を持っている人は、特に力になれるのではないでしょうか。

そして、力になれると感じることが、自分自身の癒しにもつながっていくと思います。

 

『アクティブ・ホープ』を読んだときに、世界には2つの力があるということが書いてありました。

・支配する力

・つながる力

僕達は、どうやって「つながる力」を強めていくことができるのか。

学びながら、進んでいきましょう。

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1829 0
共生革命家ソーヤ海さんと話をして感じたこと https://masatotahara.com/?p=1770 https://masatotahara.com/?p=1770#respond Thu, 17 Dec 2015 00:43:20 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1770

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(2):大転換 ジョアンナ・メイシー、クリス・ジョンストン著『アクティブ・ホープ』についての感想を連載している。 この本は、社 ......
  3. アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む 『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。 今回は、連載の最終回です。 気持 ......
]]>
最近、ずっと幸せになる方法について考えています。

本来であれば、太陽の光を浴びて、おいしいものを食べて、家族とおしゃべりしたりすることができていれば、結構、幸せなんだと思うんですよね。

あとは、自分の内側から湧いてくる想いに従って行動して、その想いが満たされていけば、それはもう至福です。

でも、そういう幸せから、自分たちを遠ざけているものがあるように感じています。

「幸せの条件」という別の目標が外から設定されて、「幸せの条件」を満たすために、幸せではない日常生活をおくるという本末転倒が起こってしまっているのではないでしょうか。

学校での成績、学歴、お金、お金を持っていることを示す様々なモノ。

これらを手に入れることが「幸せ」ですよと教えられて、それを手に入れる競争に没頭していることで、日常の幸せが失われていき、その一方で、大量生産、大量消費によって必要のないものが世の中に溢れ、大量の廃棄物を生み出しています。

さらには、学歴、お金、モノを持っていない人の自己肯定感を奪っていくという現象も生み出していると思います。

僕自身も、この文化の中で育ってきたので、「幸せの条件」が、無意識レベルに染み込んでいます。

そこからどうやって抜け出していけばいいのか。

自分を使って、いろんな実験をして、そこで感じたことを振り返って気づきを深めて・・というサイクルを回しながら、新しい価値観を創るための試行錯誤をしています。

クラウドファンディングに積極的に関わったり、ペイフォワードの動きを自ら作り出したりしていくうちに、いろんなことに気づくようになりました。

資源を奪い合っていると、誰かが得をする一方で、誰かが損をするわけです。

「損をしたくない」という思いから、みんなが自分を守るようになっていきます。

でも、「与える」という行為をすると、与えた側の心が満足感で溢れるんですね。受け取った側の心も感謝の気持ちで溢れる。

ここには、失っている人が誰もいないんです。

これは、とても大事なメカニズムだなと思いました。これこそ、体験を通してどんどん広めていきたいことですね。

試行錯誤をする上で、最も参考になるのが、「自然界」です。

人間は、本来は自然の一部なので、自分の想いに従って直感的に動いていくことで、生態系のようなシステムを作っていく力があるはずなんじゃないかという仮説を立てています。

この考えは、故・明峰哲夫さんが1970年代にやっていた「都市を耕せ」という活動から影響を受けています。

Webで調べたら、明峯さんがやっていた活動をエコビレッジで紹介していたので、こちらに引用します。

今月の座学では、このテーマについて、明峯哲夫先生(農業生物学研究室主宰)に講演していただきました。
1974年、石油パニックの真っただ中、茨城の農村地帯に反近代化を唱って「たまごの会」の自給農場はスタートしました。東京周辺の約300世帯の都市住民が自らの食べ物を自給すべく共同出資をし、経営のすべてに関わり、届けられる野菜と引き換えに生ごみを提供したのです。当時、有機農業はまだ認知される由もなく、農場コミューンは、地域からも相当異質なものとして見られたに違いありません。しかしながら、その中から一人、また一人と就農者が現れ、地域の生産者も少しずつ有機栽培を始めるようになり、今では関東周辺の有機農業をけん引する存在となっています。

先生は八郷を離れた後、81年に東京日野市で30アールの畑と水田10アールを借りて「やぼ耕作団」を立ち上げられました。東京の駅前の一等地で、10家族のメンバーが食べる野菜はほぼ完全に自給されたそうです。大豆は味噌に、小麦は乾麺に加工し、東京で唯一頭のヤギを飼い、生ごみや落ち葉で堆肥を作りました。
先生は「田を耕すことが自然の循環に連なることを学び、過度に工業化した近代の都市生活の歪に気づく。そして農の力を実感した都市民が、主体的なまちづくりに関わったり、農村に移住したりするきっかけとなる」と言われます。
「社会の異物として存在し続けること、ただし地主さんや地元生産者など地域の協力者を得るための努力も大切」とも言われ、地域との関係性のポイントについて指摘されました。

たくさんの日本人が自ら耕すようになったら、日本の都市の子供たちに笑顔が戻り、第三世界の人々の生活も改善されるかもしれません。
「闘いは楽しくやること。相手に羨ましいと思わせたら勝ち」

明峯さんは、都市の中に、あえて農場を作ることで、自分たちの生が、自然の循環に連なっていることに対する気づきを促し、近代の都市生活の歪みに気づくきっかけを作ろうと活動していました。

明峯さんについての詳しい話はこちら → 農業生物学者から教わったこと(1)

 

学んでいくうちに、明峯さんのような考えを持って活動している人たちは、実は、世界中にたくさんいるんだということに気がつきました。

「愛から行動する」というパーマカルチャーの考え方は、明峯さんの考え方と多くの部分で重なり合っていて、僕も共感する部分が多いです。

よく生きる研究所の榎本英剛さんも、2005年にスコットランドのフィンドホーン・ビレッジに家族で移住し、パーマカルチャーを実践しながら生活された経験をお持ちです。

榎本さんは、その後、トランジションタウンという持続型社会を創る世界的な運動を日本に持ち込み、トランジションタウン藤野の中心的な存在になっています。

榎本さんとスカイプでお話したとき、フィンドホーンと明峯さんがやってきたことが頭の中で結びつきました。

また、トランジションタウンでの自己組織化的な取り組みが、「反転授業の研究」における自己組織化と強くシンクロするのを感じました。

榎本さんと話をしているうちに、コミュニティの自己組織化の力で問題解決していくという方法は、自分たちの中の生き物としての力を引き出していくことなのだという認識が深まっていきました。

60分ほど話をした後、榎本さんは、「田原さんと話したら化学反応が起こるかもしれない人を何人か思いつきました。」と言って、2人の名前を教えてくれました。

そのうちの一人が、共生革命家、ソーヤ海さんでした。

 

ソーヤ海さんとはどんな人?

ソーヤ海さんのことを調べていくと、東京アーバンパーマカルチャーのサイトにたどり着きました。

Webサイトには、次のような説明が書いてありました。

東京からサステナブル(持続可能な/共生的)社会を育むための実験と実践を行っています。
世界の最新情報やスキル(技術)を学び、
それを体感型のワークショップで日本に紹介しています。
パーマカルチャー、非暴力コミュニケーション(NVC)、禅(マインドフルネス)、
システム思考、ユースのエンパワーメントなどが活動の軸です。
活動仲間や企画者を常に募集しています。
よろしくお願いします。

次世代のためにも、一緒に平和で希望のもてる社会を創作していきましょう!

ソーヤ海さんは、多くの動画をYoutubeにアップしていて、その中の1つ、【TUPテレビ】ギフトエコロジー(与え合いの生態系)とは?を見ました。

榎本さんは、彼と僕との間にどんな化学反応が起こることを予想したんだろうか?

そんなことを考えながら、2015年9月にWebサイトにあったメールアドレスにメールを送りました。

しかし、いくら待っても返事が来ない。

縁があればいつか繋がるだろうと思っていたら、3カ月後の12月にメールの返事が届き、スカイプで話すことになりました。

海さんにシェアしたいと思っていたリアルとオンラインとを結び付けたチャレンジが、その3カ月でじわじわと進んでいたので、結果的にはちょうどよいタイミングで話をすることができたような気がします。

ソーヤ海さんとのスカイプ

ソーヤ海

海さんの忙しいスケジュールの合間を縫って、朝、スカイプをしました。

今からサンドイッチを食べるというので、その間に、僕が自分のやっていることを話しました。

「反転授業の研究」におけるオンラインの自己組織化のことや、クラウドファンディングの支援者によるオンラインコミュニティを作って、オンラインで対話セッションをして関係性の質を高めながらコクリしていくことにチャレンジしていることなどを話しました。

その後、海さんが、自分の活動について語り始めました。

今は、いろんな軸で活動しているんだけど、根底にあるのは、ビノーバ・バーベというガンジーの右腕の人がいて、彼の本を読んでしっくり来たんだけど、彼が「Moved by Love」(愛に動かされる)と言っていて、まさに自分は、そういう生き方をしたいなと思っている。

そして、そういう生き方を広めていきたい。

お金のために生きるとか、名誉のために生きるとかは、非人間的な生き方だと思っている。

自分のニーズを満たしながら、他の人のニーズを満たしていって、持っている人生の時間を、より素敵な地球を作るためにエネルギーをフォーカスしていくということを、自分の生活を実験台としてやりながら広めている。

パーマカルチャーとか、非暴力コミュニケーションとか、マインドフルネスとか、そういう社会運動とかは、表現の違いなんだと思うんだけど、一つずつ道だと思っているから、そういうことを教えて、特に、都会で刺激的なアクションを起して、拡散している感じなのね。

―― 海さんは、お金に捉われずに活動し、そこで生まれた物語を通して、自分や、周りのマインドセットを変えていっている感じですよね。

ほとんどの活動は、ギフトでやっている。
自分の生活は、すべて贈与経済でやっていて、それがベースなんだよね。
雇われることはほぼないし、金額でやることを選ぶことも基本的にないんだよね。
ただ、それが自分の本当に創ろうとしている世界を満たすか満たさないかで。
必要な資源は絶対に見つかるからという前提で動いていて。

だから、活動もいろいろ進化していて、いろいろ変わっているんだけど、
ちょうど今、大きなシフトの途中で、僕が一人で騒いでいるところに、どんどんいろんな人たちが、クラウドファンディングみたいに、ある一つのプロジェクトを提案すると、そこに人がどんどん集まって、なんらかの貢献をしたいって気持ちで来るんだけど、それが、今、うまく活用できていないところがある。

僕がいつも使っているパーマカルチャーの定義が、「生かしあう関係性のデザイン」というものなんだけど、生かされない資源というのは、どんどん腐っていって問題になる。
たとえば、ゴミとかは、まさに、生かされていない資源ということなんだよね。

サラリーマンとかもそうだと思うんだけど。

今は、僕が、東京アーバンパーマカルチャーという存在だったところを、ちょっとずつ分けていって、東京以上の人が関わっているから、その名前もどうかなって思っているんだけど。

いろんな人たちが自主的にコミュニティとして動けるようにしていこうというデザインをしている最中なんだよね。

だから、さっき言ってくれたみたいなオンラインで対話とかをして、自分がどういうステップを取りたいかという話は興味があるし、クラウドファンディングだけじゃなく、もっと関わりたいという部分をどう引き出すかというところをクラウドソーシングと呼んでいる。クラウドソーシングをやっている仲間も地球上に何人かいて、面白い感じで、イギリスとか、アメリカのベイエリアとか、ポートランドとかでやっている仲間がいて、そういう面白い試みを日本で広げつつ、どうやって東京アーバンパーマカルチャーという実験で、そこをやろうかなって、まさに考えていたところなんだよね。

今は、俺の頭がこれ以上回転できなくなっている状態だから、チームを作って、10-15人くらいのみんな任意で面白いから関わってくれている人たちだと思うんだけど、僕がボトルネックにならないような体制つくりをしているところ。

一つの社会運動にしていこうというデザインをしているところ。

基本的に俺もみんなが自分のニーズにつながって、今、非暴力コミュニケーションのニーズという文脈で使っているんだけど、すべて私たちの行動の裏側には私たちのニーズがあって、それを満たすために行動しているということなんだけど、生活の維持とか、親に認められたいとか、いろんなニーズを満たすために行動していると思うんだけど、手段に意識が向いちゃって、機能していない。

いろんな人のニーズを満たさない手段が今の社会体制となってしまっている。
その現状を変えていくために働きかけをしていきたいと思っている。
みんなが自分のニーズと、他の人たちのニーズを平等に扱って、それを満たしあう生き方をしたらかなり大きな社会変革が勝手に起きていくと思うのね。

―― 社会変革を起こしていくための戦略は?

一つの試みとしては、そういうストーリーを作る。

今の社会のストーリーと、これからの社会のストーリーを作って、それを、俺が生きて派手に表現して、「こういう生き方が都会でもできるんだ」ということをちょっとずつ今まで広げてきて、あとは、エンパワーメントって言っていたけど、みんなが社会のデザイナーであって、自分の人生のデザイナーでもあって、ニーズを意識しながら、自分の可能性や持っているものに意識を向ければ、本当に自由で満たされた生き方ができるし、自然に他の人たちに貢献したくなる。そういう一種の教育活動をやっているんだよね。

見ている方向性とか考えていることとかはすごく似ていると思うし、僕は、どっちかというと、ライブとメディアで主に活動しているんだよね。

ただ、自分自身はネットを使わなくて、それは、ネットを使うと疲れるから。笑

でも、メーリングリストは500人以上いて、僕はやっていないけど、Facebookページには2000人つながっているらしいのね。

それだけの人たちも、何らかの理由でメーリングリストに登録したり、Facebookの情報を入手している状態だから、つながりたかった好奇心とか、何か変えたいとか、生かせるように工夫はずっとしたいなって思っているのね。

来年は、月に1回くらい、東京でグリーンドリンクスみたいな、直接会える機会を作っていこうかなって思っているんだけど、そうすると本当に東京中心になっちゃって、地方の人たちとか、海外の人たちとかいたりするから、そういう人たちをうまくつなげられることができたらなとは思っていて、今、話を聞いていて、おお、まさにこんなことじゃんって思った。

―― 海さんのところのチームの誰かが、オンラインコミュニティ運営の中心になれば理想ですね。

そうなれば理想だよね。その時点で、中心が僕からコミュニティに移っているから。

―― 海さんが考えていることを、どこかでまとめて読めるところなどはありますか?

本が結構上手にいろんな活動と考え方がまとまっている。
でっかい話、抽象的な話と、かなり細かい、どういう形で都会でそれを表現しているのかとかいうのも書いてあるから。

いいベースの理解になると思うんだよ。

俺がどういう形で考えて活動しているのかというのが。

その本も、もともと俺が書きたくないというところからはじめたの。

本を書きたくないということをワークショップでずっと言っていたら、15人くらいのライターとか編集者とかが集まって書いてくれたの。

お金とかない状態で、みんなが想いで集まってくれて、プロの編集者とかライターが集まって作ってくれた。

全部有機的だから任意で作ってくれているわけじゃん。

でも、すごくクオリティの高いものができて、人間スピードなんだよ。

締め切り決めても、みんな仕事をしているから、その締め切りに間に合わないんだけど、締め切りって空想の「この日」というものに過ぎないから、全体のプロセス、任意で何かを作りながら原動力は想いだけ。結果、すごい本ができたけど、お金がなくて、もともとはコピー機で刷る「仁」みたいなものを作ろうと思ったのにすごい本ができちゃって、コストも高いから、そこでクラウドファンディングをして370人くらいが投資してくれたから、結果、400人で作った本ができたんだよね。

その物語がパワフルだと思うんだよ。もともとクラウドソーシングで、僕の周りにいる人と、その人たちのネットワークで、みんな技術を提供してくれて、みんな想いで作った本当にクオリティが高いもの。

お金が一切、決断の要素になっていなかったから、めっちゃ自由だったんだよね。

お金のことを考えると、みんな制限されちゃうから、うちらは、作りたいもの、最高のものを作ろうみたいな想いで作ったから、一般的な出版社ではできないような本ができたんだよね。

手作りだけど、みんなの想いがこもっていて、みんなの想いからお金も出て、出版できてという。

本の内容もいいんだけど、本の作り方が、まさにパーマカルチャーとか贈与経済をベースとしたものなんだよね。

自らが先頭を切って派手に飛び込んでいく海さんと、フォロワー型のリーダーとして、オンラインコミュニティに自己組織化の渦を巻き起こしていくことを得意とする僕とは、相補的な関係になっていて、今後、お互いを生かしあうような、よいコラボレーションができそうな予感がしました。

スカイプが終わって、早速、クラウドファンディングによって作られた海さんの本を買いました。

そして、明峯さんの本も。

この2冊の本は、お互いにシンクロし合って、僕の心に何かの灯をともすような気がしています。

40年前に東京を耕した明峯さんと、今、同じ想いを抱いて東京を耕している海さんと繋がったことの意味について、じっくり考えてみたいと思います。

 

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1770 0
アクティブ・ホープ(4):前に向かって進む https://masatotahara.com/?p=1747 https://masatotahara.com/?p=1747#respond Sun, 13 Dec 2015 06:44:33 +0000 http://masatotahara.com/wp/?p=1747

Related posts:

  1. アクティブ・ホープ(1):この本に出合うまでの物語 今日から何回かに分けて『アクティブ・ホープ』という本についての感想を書いていきたいと思う。 この本とは、まさに ......
  2. アクティブ・ホープ(2):大転換 ジョアンナ・メイシー、クリス・ジョンストン著『アクティブ・ホープ』についての感想を連載している。 この本は、社 ......
  3. アクティブ・ホープ(3):新しい目で見る 『アクティブ・ホープ』のPart2は、自己という概念を空間的にも時間的にも広げていくことがテーマです。 これは ......
]]>
『アクティブ・ホープ』を読みながら、自分の体験を振り返って言語化しています。

今回は、連載の最終回です。

気持ちが奮い立つようなビジョンをつかまえる

僕は、子どものころから、空想癖が強くて、油断していると今でも、頭の中が空想の世界へ飛んでしまいます。

そうなると、注意がおろそかになり、小学生時代に、ランドセルを学校に置いたまま、1Kmの道のりを歩いて自宅に帰って来て、ランドセルを玄関に置こうとしてはじめて、それを背負っていないことに気づいたということもありました。

親からは、「そんなんじゃ、いつか取り返しのつかない失敗をするよ。」と言われ、実際に、いろんな失敗をしてきました。

医者になるのは絶対にやめようと思いました。

手術をしているときに気持ちが逸れて、何かを体の中に置き忘れたまま縫い合わせてしまうような失敗をしてしまうんじゃないかと思ったからです。

このような性質は、自分がきちんと作業をすることを妨げるという意味では欠点ですが、ビジョンを持つためには、もしかしたら役立っているのかもしれません。

脳の働きに関する数十年間の研究によって、私たちは、人間の二つの大脳半球が異なった働き方をすることを理解し始めている。左脳が言語や合理的な理屈で思考するのに対し、右脳はイメージやパターンを使って機能し、私たちが複雑な情報を融合し、ものごとの大局を感じ取るのを助けてくれるのだ。私たちの教育システムはほぼ言語と数字にしか関心がなく、私たちはまるで、脳の半分だけ使うように教えられているかのようだ。ビジョニングの能力を養うための第一歩は、それが知性の一つの形であって、学ぶことができる重要な能力だと気づくことである。

-- 『アクティブ・ホープ』 p220

物理学のトレーニングを受けたことは、想像力をうまく使うようになるためにとても役立ちました。

抽象化と具体化とを行き来しながら、様々な分野の出来事を結び付けられるようになったからです。

細胞性粘菌を研究しているときに、細胞集団にマクロな「個」が生まれるために重要な要素は、次のようなことであると抽象化しました。

コミュニケーションの伝搬速度が上がり、集団ダイナミックスのタイムスケールと、ミクロな個のタイムスケールとがカップリングすること

このように一度、抽象化してから、これを人間社会に当てはめてみたときに、インターネットが決定的な役割を果たすのではないかと思いました。

僕が大学院で研究していたころは、まだ、インターネットの黎明期でしたので、スカイプのようなサービスもなく、テキストベースでのやり取りだけでした。

でも、今後、この技術が発展していけば、遠く離れた人同士でも一瞬で繋がってグループになっていくはずだし、グループ内の情報の共有も一瞬にして行われる。そうなると、どこかで閾値を超えて、マクロな「個」のようなものが生まれていくのではないか。

20年前にそんなことを夢想していました。

マクロな「個」というイメージは、僕の心を大きく刺激しました。『パラサイトイブ』がSFホラー対象を取ったことに刺激され、自分もSFを書いてみようと思って『OMERA』という小説を書きました。

OMERA

R研究所の地下室にでは、飼育員の中島が、実験用のクローン猿たちに向かって「おめーらは、よう、かわいそうになぁ」と語りかけていた。

ある日、クローン猿たちに集団意識が芽生え、「私は、OMERA」と話し始める。

クローン猿たちの集合意識の知性レベルは、人間個人の知性レベルをはるかに上回り、OMERAは、街を支配し始める。

それに対抗するために、人間も集合意識を生み出す方法を見つけ、クローン猿と人間の集合意識同士の戦いが始まる。

争いの中で、さらに上位の集合意識の存在に気づく人間や猿が現れ、戦いの意味についての問い直しが始まる。この戦いは、生命体としての集合意識の存在に気づくためのプロセスだと意味づけらることによって、戦いが終了する。

数百ページ書いたところで読み直してみたら、自分の文章力の無さに愕然とし、アイディアだけでは小説は書けないのだということに気づいてあきらめました。

 

その後、研究を離れ、10年以上が過ぎました。

「反転授業の研究」で、ワールドカフェについて学んだとき、対話によって集合知を生み出す手法なのだということを知りました。

自分の心の底に沈んでいたイメージが、再び表層へと浮かび上がってきました。

そして、オンラインの対話を重ねているうちに、次々とビジョンが生まれてきました。

・オンラインコミュニティに集合知を創発させ、自己意識を、私から、「私たち」へと広げていき、全員参加型の共生・共創社会を生み出す動きを支えていく。

・国境を超えたオンラインコミュニティに「私たち」を生み出すことで、平和維持の力にしていく。

これらを実現するために、創発が起こるようなオンラインコミュニティ運営や、Web会議室を使ったオンライン対話セッションを開発していくことにしました。

国境を超えた交流をするために、英語でのコミュニケーションに本気で取り組み始めました。

遠隔コミュニケーションの質と量を高めていけば、あるところで閾値を超えて、広範囲に広がる「私たち」が創発し、多くの課題が「自分ごと」になることで解決されていくのではないかというイメージが湧きました。

そのイメージに導かれるように、「反転授業の研究」に参加型のオンライン講座が誕生したり、国境を超えてオンラインで語り合うオンラインコミュニティGreen Bird Cafeというが生まれたり、クラウドファンディングの支援者たちと一緒に外国ルーツの子どもたちを支援するオンラインコミュニティが生まれたり・・・様々な活動が次々と生まれています。

未来に何が起こるのかを確実に知ることは私たちにはできないので、何が起こってほしいか、ということに意識を集中させ、それが実際に起こる可能性を高めるために自分にできることをする、という方が理に適っている。そして、それこそが、アクティブ・ホープなのである。

-- 『アクティブ・ホープ』  p224

インターネットで繋がることで、サイバースペースに「私たち」を出現させるという試みを夢想しながら、2012年12月にひっそりと始まったオンラインの読書会が、3年後には、3600人のオンラインコミュニティに成長し、教育界に大きなインパクトを与えそうな勢いになっています。

その経験があるから、どこかでひっそりと始まっている試みも、「つながる力」によって大きく成長し、大きな動きを生み出すことができる可能性があることを信じることができます。

 

集合的知性によって選ばれる

『アクティブ・ホープ』の中には、メタレベルの「個」の話が頻繁に登場します。それは、集団的知性という言葉であったり、エコロジカル・セルフという言葉であったりします。

僕の人生のテーマと『アクティブ・ホープ』のテーマは、強く強くシンクロしています。

エコロジカル・セルフという、より大きな自己から導きの合図を受け取ることができるのなら、それは、気持ちが奮い立つようなビジョンを私たちがつかまえると言うよりも、そうしたビジョンが私たちをつかまえるのだと言えるのかもしれない。どんな状況にも潜在的な可能性というものがあり、出現しようと待ち構えている。夢うつつでビジョンを見ている状態のときに私たちはそうした可能性を垣間見るのだ。そしてそうしたビジョンを私たちがつかまえたとき、それらは私たちを通して働き、私たちの行動という形に結実する。同じビジョンが数人をつかまえて、目的を共有する1つのコミュニティとして結びつけることもある。そう考えると、ビジョンというのは私たちが生み出すものでなく、私たちはビジョンに仕えているのだということもできる。

-- 『アクティブ・ホープ』 p236

自分の頭の中に浮かび上がったビジョンを、「自分が考えたもの」と考えずに、生命の織物を行き来する情報やイメージが、自分を通して現れてきたものと考えることは、それほど不自然なことではありません。

Facebookや、オンライン講座のフォーラムで書き込みをしていると、他の人の考えとシンクロし、他の人の言葉や考えを借りながら、自分のモヤモヤした思考を言語化できるようになるということを頻繁に経験します。

このようにして言語化されたものは、自分の中にあったものと、他の人の思考とのパッチワークです。さらに、自分の中にあったものも、もとを辿れば、誰かの思考を借りてきたものです。

多くの人の頭の中を言葉が飛び交いながら、様々な組み合わせが試行錯誤されていくうちに、多くの人の心を動かすような言葉やイメージへと磨かれていくのではないでしょうか。

ですから、コンテクストによって土手を作り、問いによって場に多くの思考を流していき、それらが自然と結びついて意味を成していくようにするワールドカフェの手法は、ぼくにとってとてもしっくりきます。

これは、ワールドカフェのメンバーが協力して集合知を生み出したという見方もできますが、もし、集合的知性の存在を認めるのなら、ワールドカフェという手法によって集合的知性にアクセスすることができたということになるでしょう。

ワールドカフェの産みの親であるアニータ・ブラウンは、ワールドカフェを、集合的知性(collective intelligence)にアクセスすることのできる方法として捉えていると発言していました。

集合的知性という考え方によれば、そうやって何かに応えようとするとき、あなたは決して一人ではない。そこではもっと大きな物語が進行していて、その中である特定の役割を演じることをあなたが選んだ、またはそのためにあなたが選ばれたに過ぎないのだ。自分よりも大きな知性を信頼するならば、同じくそれぞれの役割を演じているたくさんの仲間や助っ人のサポートを受け入れることもできるであろう。ジョーゼフ・キャンベルが書いているように、「あなたの至福に従いなさい・・・そうすれば、これまで扉のなかったところに扉が開く」のである。

-- 『アクティブ・ホープ』 p242

自分の周りにサポート・システムを作る

『アクティブ・ホープ』の第11章では、次の各レベルにおいて自分のまわりにサポート・システムを作る重要性が語られています。

・習慣や日々の実践などの個人的なレベル

・直接顔が見える人間関係のレベル

・自分が属する文化・社会のレベル

・すべての生命とのつながりを前提としたエコスピリチャルなレベル

――『アクティブ・ホープ』 p273

『反転授業の研究』に取り組んで1年くらいが過ぎたころ、自分だけが頑張っていて、空回りしているのではないかという気持ちが生まれて、苦しくなりました。

当時は2600人ぐらいのコミュニティだったのですが、その中に創発が生まれるためにどうしたらよいのかということを考え、グループに問いかけたりしていました。

ファシリテーションをテーマにしたオンライン勉強会では、自己組織化が起こるための条件をテーマに話をしました。

グループ内に自己組織化を増やすためには、相互作用量を増やすことが必要で、そのためには、

パスの受け手:「助けて」、「手伝って」という人

パスの出し手:「助けるよ」、「手伝うよ」という人

の両方が必要なのだけど、日本人に一般的なマインドセットだと、他人に迷惑をかけてはいけないと思いがちだから、パスの受け手が足りなくなってしまうので、積極的にパスの受け手の役割を果たしていくことが大事だということを共有しました。

このようなことを共有したことにより、安心して助けを求められるようになり、協力し合うことができるようになりました。

自分ができることで貢献して、できないことは助けてもらえばいいというように感じられるようになると、心が軽くなって、頭も自由に動くようになってきました。

逆に言えば、一人でやらなくてはいけないという考えが、知らず知らずのうちに、自分の発想さえも押さえつけていたのだということに気づきました。

 

助け合いが当たり前になってくると、本来は、このような関係性のほうが自然なのではないかという気持ちが生まれました。

朝、海を見ながらコーヒーを飲み、体に風を感じていると、自分が地球の長い歴史の中で生き物の1つとしてここに存在しているということを感じられます。

自分も生命の織物の一部として、情報やエネルギーを自分の体内に巡らせているということを感じられるのです。

私たちが呼吸する酸素は、植物やプランクトンがなければ存在しない。土壌や植物、受粉を媒介する昆虫、そして他の生き物たちが構成する、豊かで複雑な、生きた環境がなければ、私たちは食べ物を手に入れることができない。私たちの生命が他の生命体によって支えられている、ということを私たちが深く理解したとき、彼らにお返しがしたいという思いが自ずと強くなるはずだ。

  --『アクティブ・ホープ』 p287

 

熱意と活力を保ち続ける

生物物理で自己組織化を学んだこと、ネット予備校運営でインターネットの使い方を学んだこと、オンラインコミュニティ運営に関わるようになったこと、参加型のオンライン講座の運営を開発したこと・・・自分自身のこれらの強みと、「大転換」のビジョンとが結びついたとき、自分の身体の中からエネルギーが湧いてくることを感じました。

著述家であり牧師でもあるフレドリック・ブフナーはこのことを、「私たちが心の奥底で感じる喜びと、この世界の根底にあるニーズが出会う」ところ、と描写する。この融合点を見つけたとき、「大転換」は、私たち一人ひとりを通して、その人にしかできない独特の形で姿を現すのだ。

  -- 『アクティブ・ホープ』 p298

広い意味での活動家として、「つながる力」を発揮して、周りと助け合いながら、「大転換」へ向けて進んでいくプロセスそのものに幸福感を感じています。

今から考えると、東日本大震災の後、アクティブ・ホープのつながりを取り戻すワークのスパイラルが、自分の中で回っていたのだと思います。

東日本大震災で世界に対する痛みを感じ、自分がどうやって生きてけばいいのかが分からなくなり、カオスに入りました。

その中で、徐々に自分の価値観やマインドセットをつくり変えていくことができ、新しい目で見ることができるようになりました。

「反転授業の研究」などの活動を始めるようになり、前へ向かって進み始めました。

協力し合える関係を作るためにどうしたらよいかを考え、自分のこだわりを捨てて心をオープンにしていったことで、周りからのサポートを得られるようになり、自分の心の中に感謝の気持ちが溢れました。

心をオープンにしたことで、世界の痛みを感じる感度が上がり、多くのことに対して自分ごととして取り組むようになりました。

自分ごととして取り組むことで、今までに出会わなかったものと出会うことになり、マインドセットの変化が起こりました。

自分のマインドセットの変化により、世界に対する見方が変わりました。

新しく見えてきた道を、今進んでいるところです。

震災後の4年間でスパイラルが1回転半ほど回り、自己の範囲が広がり、心の感度が高まり、前へ進む勢いが生まれ、周りに対する感謝を強く感じるようになっています。

 

activehope05

 

このスパイラルを、さらに回していくことになると思います。

まだまだ旅は始まったばかりですが、確かな希望が湧いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

facebooktwittergoogle_plusby feather ]]>
https://masatotahara.com/?feed=rss2&p=1747 0