自由な人の居場所のある世界を創造したい

宇宙のあらゆる構造は、カオスと秩序のはざまに存在しているのではないでしょうか。

大学院で複雑系を研究し、自己組織化やカオスといった概念に触れてから、ずっとこのような見方をするようになりました。

そして、感じるのは、「今の社会は秩序が強すぎる」ということ。

個の自由度がシステムに束縛されすぎていると感じています。

このバランスを変えていくための方法は2つあって、システムを弱めるか、個を創造的にしていくかです。

でも、今存在している巨大なシステムを変えていくのは多大なエネルギーが必要になります。一方で、個を創造的にしていくことは、テクノロジーの進化によって、安価に実現可能になってきています。

 

2年前、18歳だったエインとスカイプで話していて、カオスの縁(edge of chaos)の話をしました。

そのときに見せた動画がこれです。

秩序状態から、だんだんカオスを強めていくと、あるところでフラクタル的なパターンが生まれ、その後、カオス的になっていきます。

フラクタル的なパターンが現れるところがカオスの縁(edge of chaos)。

もっとも生き生きとしている状態です。

そこは、大きな構造と中くらいの構造と小さな構造が共存している世界。システム全体の創造性が最大化している状態です。

社会をカオスの縁に近づけることができたら、もっと多様な人が幸せに生きていけるのではないかと思いました。

 

そして、そこへ至る道を2つ考えました。

(1)個人が創造性を発揮して作った小さなビジネスがうまくいくためにブランディングを助けること。

(2)個人が創造するために、好奇心を持って学ぶ環境を創ること。

前者がNoovoで、後者がKnowCloudで実現したいことです。

この2つのプロジェクトは、世界をもっとフラットにして、カオスの縁へ近づけていくための車輪の両輪なのです。

 

18歳だったころのエインは、いつも言っていました。

「この世界には、自由な人が生きる居場所がない。」

でも、20歳になったエインは言います。

「自由な人の居場所を、私はクリエイトする。」

そして、決意を固めて動き出した第一歩が、このクラウドファンディングでした。

恐る恐る踏み出した第一歩に、たくさんの支援をもらえたことで、彼女は大きな力を得たと思います。

そして、その力をもとに豊かな才能を発揮して、世界に自由に生きる隙間をたくさん創造してくれると思います。

Noovo物語10

虚しさはもういらない

クリスマスや新年を迎えるころになると、至るところが輝かしく、通りは人で埋め尽くされ、花火が上がる。こういったものを、みんなちゃんと感じ取れてるんだろうか。何年もの間、私は抜け殻そのものだっだことがある。花火や街路のきらめきも、私に届くことは決してなかった。

私はいつだってアイディアを思いつくことができたし、それは子供のような溢れるイマジネーションのおかげだと思う。子供というのはみんなそうしたものだ。私はオトナになったことがないということでもある。子供というのはみんな天才性を持っていて、その人のIQがどうだろうと、オトナになるというのはバカになるのと同義だ。私は、発想に関わるものだったり何かを作り出すという話題でない限り、いまだにきちんとした話をするのが得意でない。複数人と会うようなミーティングでは自分を抑えるよう努め、そうしたお芝居が長く続いたときなどは、私の頭脳が痛めつけられる。マサトはそれが分かっているから、選び抜いた人とだけ話せばいいようにしてくれている。私がMyeworldを立ち上げていたころは、大勢の人間と話すことが続き、仕事が終わると、私の心はすっかりがらんどうになる。そんな毎日だった。それこそ、鏡の前に立ち、自分ではない誰かを見ているようなもの。「これはいったい誰? 私はどこ?」

私にはお金の意味がよく分かるけれど、それは十二歳から十四歳手前の二年間、毎日そればかり勉強していたからだ。でも私は好きになれない。価値(value)がないと分かっているのだから。お金が有する唯一の価値というのは、それ自体に価値がなく、変動値(variable)だという事実そのものだ。

そのことを最初に私に教えてくれたのは、私より四~五歳年長の、幼なじみの若い投資家だった。私が家と学校から逃げ出した時、彼のところに居候していた。男性というものを嫌ってはいたけれど、母によく似た指先をした彼のことを嫌いではなかった。彼が勉強するときは必ず、その横で私も勉強したということ。苦手に感じない唯一の人だったから、四六時中引っ付いていた。彼は、それがどんな馬鹿げたアイディアから出たものにしろ、Win-winの状況であれば大金を投じることができた。そしてそれが私のお気に入りのゲームの一つになったわけだ。それはいまも変わらない。あるアイディアを耳にすると、それを適用する方法が即座に頭に浮かぶ。彼がやりたかったことと、私が今やっていることはだいたい一致している。そう、作り出すことは希望だから。希望そのものと言ってもいい。何かを作り出すとなれば、自分自身について考えることをやめる、たとえ私と同じく人嫌いでも、他者のことを考え始める。それでハッと気づくのだ。そこにはもう「ワタシ」はいない。自分の存在自体が何かを作り出すための環境の一つになる。川や、海原のように。

この世界では、多くの人が自分のことを考えるばかりで、他人はもちろん、身の回りの世界を気にすることもしない。そうした人々の周囲もまた同じことをするばかりで、消えることのない虚しさがいつも漂っている。これではWin-winの状況を形づくることはできないし、だから限りある可能性しかなくなってしまう。誰かが勝てば、誰かが負ける。そんな状況にはうんざりだ。Win-winを作り出すなんていうのはごく簡単なことだ。ちょっとの間自分のことを忘れるだけ、そして他人のことを考えるだけでいい。

(原文:THROWING AWAY THE EMPTINESS

★エインさんがクラウドファンディングに挑戦中です。
締め切りまであと47時間。
目標金額7000USD, 現在2741USD
https://www.indiegogo.com/projects/noovo-a-brand-building-startup/x/9455632

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