振り返って決断すると「個」が強まる

2月12日(火)に、杉岡一樹さんのマイシンボルアートのオンライン展覧会をやりました。

杉岡さんのアーティストとしての活動は、カードゲームとマイシンボルアートの2つが軸になっています。

カードゲームは、国境を超えて楽しい時間を過ごせるように言語依存性をなくしてあるそうです。ここには、世界平和への願いが込められています。

一方、マイシンボルアートは、「個」を強めていくものだと思います。

僕たちは、大量の情報の洪水の中で生きているので、受動的になるとあっという間に流されていってしまいます。

そうならないためには、自分の内部を見つめて、自分のコアとなる部分を見つけ、そのコアから情報発信したり、活動したりしていくことが大切になってくるのではないでしょうか。

コアを持った個人が主体的な活動をしていくことが、フラットでオープンな世界を創ることにつながっていくのではないか。僕がマイシンボルアートの活動にそんな可能性を感じています。

僕自身がマイシンボルの制作過程を振り返ると、杉岡さんとのやり取りの中で、「自分はカオスを恐れずに進み、枠組みを超えていくんだ」というコンセプトが見えてきたんですね。

そして、そのコンセプトが、僕の苗字を表す「田」をモチーフにしてシンボル化されたことで、自分の中にコアになる部分が固まり、一貫した情報発信ができるようになりました。

このブログが、まさにそれです。

 

オンライン展覧会は、

(1)杉岡さんのインタビュー

(2)杉岡さんのマイシンボルアート作成ライブ(古山竜司さんにインタビュー)

(3)マイシンボル体験

・ギュンター知枝さん

・横川淳さん

・松嶋渉さん

(4)古山竜司さんのマイシンボルラフ案公開

というように進みました。

この中で、たくさんの気づきがありました。

 

まず、杉岡さんのインタビューで、とても印象に残ったことがあります。

どうやって個性をシンボル化するのかという質問に対して、杉岡さんが、

「外向けの顔の狭間に、ちらっとその人の個性が垣間見えるので、それを見逃さないようにする」と語った部分です。

杉岡さんの中では、それは、「違和感」とか、「整合性が悪いもの」として認知されるのだそうです。

社会化された顔の背後に隠れた、「その人らしさ」が、何かのはずみで表面に出てくるということでしょうか。

そして、その印象を元に、

・名前を元にしたA案

・心の中の大切なものを元にしたB案

の2つのラフ案を提示するわけです。

続いて、古山さんのインタビューになりました。

古山さんは「ふるやまん」という「ウルトラマン」に似た呼び名を持っていて、『ふるやまんの算数塾』というWebサイトを運営しています。

実際にウルトラマンショーで、ウルトラマンの中に入るバイトをしたことがあったのだとか。

子供たちにとって、算数を助けてくれるヒーローになろうという思いが「ふるやまん」の中に込められているように思いました。

また、語学留学をしたことをきっかけに大学に行かなくなったという部分がとても印象的でした。

世界に向けて勝負したいと思ったときに、古山さんの中で「このままでいいのか?」という疑問が生まれたことがきっかけだったのだそうです。

その中で「一源三流」という言葉に出会い、今の猛烈にコツコツ努力する古山さんの土台ができたのだとか。これは、いい話でしたね。

さて、このインタビューから、杉岡さんがどんなラフ案を作るのか?

ドキドキしながら、次のコーナーに移りました。

 

次のコーナーでは、シンボルアートを作った体験を語ってもらいました。

最初に登場したのはギュンター知枝さん。

名前をベースにしたA案と、物体はミクロに見ればスカスカだというイメージをもとにしたB案。

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知枝さんが大学で専攻していた声楽や、知枝さんが好きな「風」のイメージが取り込まれたA案を選ぶと思いきや、知枝さんが選んだのはB案でした。

その理由は、その後に出てきた青いグラデーションの部分が気に入ったのだそうです。

そして、まるで気に入ったアクセサリーを手に入れるかのようにシンボルアートのデザインが決まっていき、最後にたどりついたデザインを元にして、知枝さんは改めてそのデザインの意味を考えたのです。

そして、そのデザインを見て、改めて知枝さんにとって大切なコアになるコンセプトと出会ったのだそうです。

この流れは、とても興味深いものでした。

次に登場したのは、横川淳さん。

横川さんが好きな言葉である「一灯照隅」とイニシャルのYをコンセプトにしたA案と、振り子をイメージしたB案とが提示されました。

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こちらも好きな言葉が含まれたA案がベースになると思いきや、振り子のB案のほうが選択され、そこからリサージュ図形というアイディアが横川さんから出てきました。

そこからのやり取りは、メールが往復するたびにアイディアが付け加わり、まさに共同作業によってマイシンボルができていきました。

横川さんの言葉の中で印象に残ったのは、「信頼感」という言葉。

自分を表すシンボルというものを作る作業というのは、自分の心の大切な部分に触れてくるわけです。

だから、相手を信頼することができないと、その作業を進めることができないんです。

やりとりを通して、横川さんは杉岡さんを信頼し、そして、その信頼に応える形でマイシンボルが出来上がったというのはすばらしいストーリーでした。

3番目に登場したのは、松嶋渉さん。

松嶋さんは、傾聴をコンセプトにしたマイシンボルを自分で作成してから、杉岡さんにマイシンボルの作成を依頼するというちょっと変わった制作過程と踏みました。

松嶋さんが作成したシンボルは、「聴」の字を分解し、「心」の上に「耳」が配置されたもの。

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これに対して杉岡さんから返ってきたのが「惜しい」という言葉。

2つの要素があって、1つに絞り切れていないのが惜しいということだったのだそうです。

それで、杉岡さんから、「心」と「耳」をコンセプトとした2つのラフ案が示されました。

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松嶋さんは、この2つから「耳」を選択。

その後、紆余曲折をした人生を表すために曲線を入れてほしいというリクエストを送り、曲線が入った案も出ました。

ここでも、曲線か直線かという選択を迫られました。

とても興味深いと思ったのは、「選択する」という行為によって、コアになる部分が見えてきて、自分にとってのシンボルの意味が固まってくるということです。

松嶋さんは、大変悩まれたようですが、そのプロセスを経て、自分にとってのコアな部分が何なのかという気づきが生まれ、マイシンボルを手に入れることができたのだと思います。

さて、3人の話を聞いているうちに、古山さんのラフ案が出来上がりました。

僕は、司会をやっていたので、杉岡さんがラフ案を描いている様子を見る余裕がなかったのですが、録画動画を見てびっくりしました。

A案のほうは、ほんの2-3分で書き上げ、残りの35分ほどをB案に当てていたんですね。

イメージを元に、いろんな試行錯誤をしている様子がビデオに映っていて、とても興味深かったです。

デザインが、次々に変わっていき、その中の要素がどんどん抽象化されていく感じ。その課程を見ることができたのはとても貴重でした。

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そして、A案とB案とが公開されたときの古山さんの顔が、とても良かったです。

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さて、古山さんは、A案とB案のどちらを選ぶんでしょうか?

楽しみですね。

オンライン展覧会の録画動画は、2/15までの期間限定で公開しています。

視聴申し込みはこちら

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