閾値を超えた先に存在するものは何か
現在、英語を学ぶ重要性は、10年前に比べて1000倍以上になったと感じている。
それを実感するようになったので、40歳を過ぎてから、英語をもう一度勉強し始めた。
読めるだけじゃなくて、聞けて、書けて、話せる英語力が必要だ。
そうすれば、世界で行われていることにプレーヤーとして参加できるようになる。
非線形システムの大きな特徴は、閾値があることだ。
システムへの入力を少しずつ変えていくと、ある値を境にして出力が劇的に変化する。
そこを超えた瞬間、スイッチがONになるのだ。
ONとOFFとは0と1
「ある」と「なし」
スイッチがONになった瞬間、量的な違いが、質的な違いに転換するのだ。
インターネットが始まったころは、まだスイッチOFFだった。
知りたいことがあれば図書館へ行って調べた。インターネットには十分な量の情報がなく、その情報の信頼性も低かったからだ。
インターネットには情報が情報を呼ぶ仕組みがある。
たくさんの情報を出しているサイトは、多くの人からのリンクが貼られ、検索エンジンから高い評価をされるようになる。
その結果、多くのアクセスと情報が寄せられ、さらに情報の質が高まっていく。
このようにして集合知的に良質な情報が生まれていく。
その結果、あるところでスイッチがONになった。
多くの人が、
「図書館に行くより、Googleで調べたほうがよい」
と考えるようになり、行動が一気に変化したのだ。閾値を超えた瞬間、社会は不連続に変化したのだ。
英語の重要性を感じた理由の1つは、Youtubeに起こった相転移に気づいたこと。
Youtubeにアップロードされている英語コンテンツは、日本語コンテンツに比べて圧倒的に多い。
一定量の情報がYoutubeに蓄積すると、閾値を超え、人々の行動に劇的な変化が起こる。
英語コンテンツはすでに閾値を超え、多くの人はYoutubeで検索して情報を得るようになっているのだ。
図書館とGoogleの関係が、GoogleとYoutubeの関係に置き換わっている。
文章で読むよりも、動画で見るほうが理解しやすいので、最初から動画で検索するのだ。
僕の行動もすでにそうなっている。
まず、Youtubeで検索し、ちょうどよいものが見つからないときにGoogleで検索する。
この行動の変化に対して、すでに正のフィードバックがかかっている。
みんながYoutubeで検索するなら、そこにビデオをアップロードしようという人たちが増えてきているのだ。
それによって、英語のコンテンツの増加率は一気に加速している。
一方、日本語コンテンツは、まだ閾値を超えていない。
日本語でYoutube検索しても、たいした情報を見つけられないから検索しない。
日本語コンテンツも、いつかは閾値を超えるのだろうが、その間に英語コンテンツは、さらにいくつもの閾値を超えているかもしれない。
非線形システムは、立ち上がりに時間がかかるが、一度立ち上がるとどんどん加速していく。
最初は小さかった差が、指数関数的に広がっていくのだ。
「知識はインターネットで学べるから、学校の役割が変わる」というのは、英語圏ではすでに現実だが、日本語圏ではまだ到来していない未来だ。
僕は、そのことを確かめるために、インターナショナルスクールに通う中学3年生と高校3年生の学習サポートを行った。
彼らが学ぶのに必要なYoutubeビデオを集めてMoodleにコースを作成し、彼らが自分で学べるようにしたのだ。
英語のキーワードで調べると、有り余る量の講義コンテンツがYoutubeにアップされているのが分かる。
だから、僕が彼らに「英語で教える」必要はない。
僕がやったのは、彼らのマインドセットをGrowth Mindsetに変えていくこと、ときどき質問に回答すること、安心感を与えることなど。
ティーチングよりも、キュレーションとコーチングが重要になることを実感した。
一番大事なのは、彼ら自身が、Youtubeで学ぶことができることに気づくことだった。
2人とも、Youtubeはエンタメのためにしか使っていなかった。
学校の先生の教え方に文句を言っていたので、もっといい先生を無料でいくらでも探して学ぶことができることを教えた。
そして、どのようにキーワードを選べば、うまくちょうどよい講義を見つけられるのか、コツを伝授した。
英語の動画を自分の学習に利用できるようになれば、いくらでも学べるようになる。
いくらでも自分の人生を切り開いていける。
人生の可能性が1000倍くらい広がるだろう。
だから、英語を学ぶ価値は、かつての1000倍なのだ。
今や、多すぎるコンテンツの中からどのように宝物を見つければよいのかということが主要テーマになって来ている。
学びを誘うガイド役に価値が生まれている。
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