シンクロの果てに「共有ビジョン」にたどり着く

シンクロの果てに「共有ビジョン」にたどり着く

ピーター・センゲの『学習する組織』を読んだとき、なんだか懐かしい気がした。

僕は、組織論については全く素人だが、この本の中に出てくる基本的な概念のうちのいくつかは、僕が学んできた自己組織化(Self-Organization)の概念と共通していたからだ。

学習する組織の5つの規律は以下の通り。

メンタルモデル

「メンタルモデル」とは、マインドセットやパラダイムを含め、それぞれの人がもつ「世の中の人やものごとに関する前提」です。自らのメンタルモデルとその影響に注意を払い、うまくいかないときには外にその原因を求めるのではなく、自らのメンタルモデルの欠陥を探求します。

「チーム学習・ダイアログ

「チーム学習」とは、チーム・組織内外の人たちとの対話を通じて、自分たちのメンタルモデルや問題の全体像を探求し、関係者らの意図あわせを行うプロセスです。中でも、「本音で腹を割って話す」ことに主眼を置き、集団で気づきの状態を高めて真の問題原因・目的を探求する一連の手法を「ダイアログ」といいます。

システム思考

「システム思考」とは、ものごとを一連の要素のつながりとして捉え、そのつながりの質や相互作用に着目するものの見方です。しばしば、全体最適化や複雑な問題解決への手法としても応用され、「生きているシステム」の考え方の根幹をなす考えでもあります。

パーソナルマスタリー

「パーソナルマスタリー」とは、自分が「どのようにありたいのか」「何を創り出したいのか」について明確なビジョンを持ちながら、ビジョンと現実との間の緊張関係を、創造的な力に変えて、内発的な動機を築くプロセスです。

共有ビジョン

「共有ビジョン」とは、経営者や構成員のそれぞれのビジョンを重ね合わせて、組織として共有・浸透するビジョンを創り出すプロセスです。ひとたび、ビジョンが共有されれば、それが組織の行動、成果、学習の指針をコンパスのように示します。

この中の「システム思考」と「共有ビジョン」は、特に、生きているシステムについて学んできた僕にとってはなじみが深いものだ。

しかし、違いもある。

1つは、組織の構成員が、自分を取り巻くシステムをメタ認知するという部分。

多くの生命システムにおいては、サブシステムは、メタ構造のことを知らずに、ただ素朴に生きている。ここに、人間の集団における自己組織化の特徴があるように思う。

もう1つは、個が変化できる範囲が広いということ。生命システムの多くは「遺伝子」というハードウェアによって行動ルールが決まっているから、個が出すことのできるカードは限られていて、その中で自己組織化を起こしていく。しかし、人間は「メンタルモデル」というソフトウェアによって行動しているから、対話などによってそれを書き換えていくことができる。そこに、人間の自己組織化の大きな可能性がある。

 

『学習する組織』の5つの規律をフレームにして考えると、今、自分が何をしているのかが明確になる。

KnowCloudをテーマに、毎日、ブログ記事を書いているが、これは、まさに「パーソナルマスタリー」のプロセスに他ならない。

「書く」という行為を通して、自分のやりたいことを整理していっているのだ。

でも、それだけじゃない。

「パーソナルマスタリー」が目的だったら、自分の部屋で日記に書けばよい。

わざわざブログに書いて公開しているのは、シンクロ(Synchronization)を起こしたいからだ。

同じような方向を向いている人と、お互いに影響を与え合いながら進んでいこうと思っているからだ。

 

僕が書いていることのすべてを、僕が考えたわけではない。

いろいろな人が書いたものを読んで、「そうだ!そうだ!」と強く共感した言葉が心に残り、それらを使いながら思考を組み立てている。

みんなが、このようなプロセスで、大量にアウトプットしていくと、だんだんと言っていることが似てくる。

多くの人の心に刺さる言葉が選択されてくる。

だから、僕は、自分が記事を書くだけじゃなく、多くの仲間の記事を読んでフィードバックを送っていく。

自分もどんどん影響されていく。

そうすると、同じようなタイミングで、同じようなことを考え、同じようなアウトプットをするようになってくる。

そのような形で集団の中に浮かび上がってきたビジョンこそ、共有ビジョンだ。

共有ビジョンは、高次の協同作業によって作られるものだと思う。

お互いが、他者の思考にヒントを得ながら、自分のメンタルモデルをつくり変えていき、他人の言葉を借りながらモヤモヤを言語化していく努力をしたときに集団の中に浮かび上がってくるものだろう。

 

すでにあちこちでシンクロが起こっている。

時代の精神を通してシンクロし、さらに、直接の交流によってシンクロが強まっている。

 

僕は、かつて、他人から影響されるということに対してネガティブな心証を持っていた。

社会のヒエラルキー構造の上から下へと流れてくるプロパガンダ的な情報に対して、「影響されないぞ!」と防御を固めていた。

ある時は暴力的に押し付けられ、ある時は知らないうちに紛れ込んでくる影響から自分を守ろうとしていた。

 

しかし、影響を受けるというのは、ネガティブなことばかりではない。

自ら進んで影響を受けて変わっていく場合もある。

安心感を感じることができる仲間との関係において、心をオープンにすると、自分の中からいろいろなものが芽吹き、影響を栄養として育っていく。

 

この2つは、力のベクトルの向きが逆向きである。

前者は、外から内へ向かうベクトル。情報をインストールしてくるイメージ。

後者は、内から外へ向かうベクトル。根や葉を伸ばしていくイメージ。

 

信頼できる仲間との交流の中で、お互いに影響をうけあいながら枝を伸ばしていくと、そこに多くのシンクロが生まれるだろう。

信頼できる仲間から影響されて、自分が変化していくことを恐れずに進むと、シンクロは進んでいく。

シンクロは、もうすでに生まれている。

これから、もっと起こる。

 

 

 

 

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